カテゴリー「アメリカ」の7件の記事

2008年6月24日 (火)

これまでに観た映画より(26) 「欲望という名の電車」

DVDでハリウッド映画「欲望という名の電車」ディレクターズカット版を観る。テネシー・ウィリアムズ原作・脚色・脚本、エリア・カザン監督作品。出演は、ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランドほか。

テネシー・ウィリアムズの名作戯曲の映画化である。演劇界出身で、舞台「欲望という名の電車」の演出を手がけたこともあるエリア・カザンが、ロンドンで主役のブランチ・デュボアを演じたことのあるヴィヴィアン・リーを映画版の主役に抜擢し、他の出演者は自らが演出したニューヨークの舞台に出ていた俳優をそのままスクリーンに登場させている。

「風と共に去りぬ」で有名なヴィヴィアン・リーは、演技にややムラが感じられるが、狂乱の場の演技は流石である。若きマーロン・ブランドのギラギラとした輝きを放つ演技も見物である。狂気の表出の演出には古さを感じるが、世評通り必見の名画である。

映画「欲望という名の電車」は検閲により、原作にある同性愛の下りの許可が下りなかった上、不道徳だとして他の場面も大幅に切り刻まれたが、このDVDではカットされた部分を含めて全て観ることが出来る。しかしカットされて牙を抜かれた格好となったにもかかわらず、映画「欲望という名の電車」は封切り当初、批評家から「スクリーンに乗せるべき題材ではない」などと酷評されたという。

映画が完成した翌年、共産主義者ではないかとの疑いを受けたエリア・カザン監督は、身の潔白を証明するために、赤狩りに積極的に協力。これによりカザンはのちにハリウッドから総スカンを食うことになるのだが、「欲望という名の電車」の件といい、赤狩りといい、当時のアメリカがいかにファナティックであったかを示す話である。

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2008年6月10日 (火)

これまでに観た映画より(25) 「グランド・ホテル」

DVDで映画「グランド・ホテル」を観る。名画として知られるが、まだ観たことはなかったのでレンタルビデオ店で探してきたのだ。
GGの愛称でも知られるグレタ・ガルボ出演作。1932年制作のアメリカ映画。

「グランド・ホテル」はベルリンの同名ホテルに集まる人々による群像劇。盛りを過ぎたバレリーナ、こそ泥、婿入りワンマン社長と彼にこき使われていた従業員、タイピストの女性などがこのホテルに泊まり、出会い、それぞれの人生の断片を見せ、去っていく。
脚本がよく練られており、「通り過ぎる場所」としてのホテルの哀感を出すことにも成功している。

ガルボはこの時27歳であるが、現代の27歳より大分年上に見える。他の俳優も現代の同年代の俳優に比べると落ち着いて見える。戦前の人は同じ年の頃であっても現代人に比べると10歳老けて見えるという説があるそうだが、それは本当のようだ。
ただ調べてみると、当時でもガルボは実年齢より上に見られがちだったそうで、本人も自分が老けてみられることをやはり気にしていたそうだ。そのためかガルボは36歳で引退してしまい、生涯独身を通し、引退以降はマスコミの前に出ることも一切なかったという。

それにしても1932年にアメリカはこれほどまでに洗練され、計算された映画を作っているのだ。こんな映画を作っている国と戦争しても日本は勝てるわけがない。

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2008年5月27日 (火)

高崎通浩 『歴代アメリカ大統領総覧』(中公新書ラクレ)

現在、世界唯一の超大国としてあらゆる分野に絶大な影響力を持つアメリカ。そのアメリカの国家元首にして内政の統括者という、国王と首相を合わせ持ったような存在として君臨する大統領。
本書は、歴代のアメリカ大統領43代42人(グローバー・クリーヴランドが2度大統領に就任しているため、一人少なくなる)の肖像を追っていく書物です。新書ということもあって概説的な内容ですが、興味深いことも多いので紹介することにしました。

高崎通浩 『歴代アメリカ大統領総覧』(中公新書ラクレ) 超大国アメリカのトップに君臨するということで、たった一人で全世界に影響を与えることも出来るというアメリカ大統領。42人の大統領の中には、アメリカ国内のみならず全世界の尊敬を集める人物もいれば、単なるお飾り的人物、それ以下の人物もいます。

民主主義を金科玉条として掲げるアメリカですが、民衆は時代の空気に流されやすいというのを知ってか知らずか、大統領に相応しい資質(というものがあるのかどうか疑問ですが)を持ち合わせていない人物が大統領候補に立候補して当選するということも決して少なくはないようです。

この書物からは、ある意味、現行の民主主義の限界と同時に、民衆とは懸け離れた場所で、政治が進行している現状をも読み取ることが出来ます。

アメリカは技術大国であり、経済大国であり、軍事大国でありますが、そこに至るまでのフロンティアスピリッツが、「社会進化論」、「アメリカ国内の膨張主義」から「全世界レベルでの膨張主義」、「帝国主義」、「保守主義と新保守主義」、「新自由主義」、「独善主義」、「単純な善悪二元論」など、アメリカ政治と資本主義の病める部分を作り出し、超大国としてそうした病を全世界レベルで広げていることは看過出来ないことです。そうした政策を生み、推し進めた大統領達の歴史を知ることは今後の世界情勢を推し量る上で、重要な作業であることは間違いなく、そのための入門書としても本書は最適であると思われます。

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2008年4月24日 (木)

俺は最高の国に生まれたんじゃなかったのか ブルース・スプリングスティーン 『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』

アメリカのロックシンガー、ブルース・スプリングスティーンが1984年に発表したアルバム『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(ソニー・ミュージックエンタテインメント)を紹介します。

ブルース・スプリングスティーン 『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』 ブルース・スプリングスティーンは1949年生まれ。アメリカの労働者階級出身者の代弁者ともいうべきロックシンガーです。彼がアメリカ最高のロックミュージシャンの一人という名声を完全に勝ち得たのは本作『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』においてでした。

表題作でもある「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」は、おそらくアメリカ史上初めてベトナム帰還兵のことを歌った歌。
戦いたくもないのに、労働者階級出身者だったが故に真っ先に戦場に送られ、帰国したら帰国したで居場所がないという絶望を歌ったものでした。

しかし、この曲が発表された1984年はロサンゼルス・オリンピック開催の年であり、スプリングスティーンが突きつけたメッセージは、祝祭ムードによって完全に誤解されてしまいます。人々は音楽の意味を理解しようとせず、気分だけを受けいれたのでした。

「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」のサビの部分だけが熱狂的に迎え入れられ、ベトナム帰還兵の歌が何故か愛国の歌として受けいれられてしまいます。もうアメリカ人は自分達のことを客観的に見つめる目を失っていたのでした。

『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』に収録された曲はいずれも深刻なメッセージがキャッチーなメロディーに乗せられていますが、人々はメッセージを楽曲から切り離してムードだけを楽しもうとしたのでしょうか。とにかく、すでにアメリカが抱える闇がここまで来てしまっていたということを期せずして世界中に知らせるアルバムにこの『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』はなってしまったということになります。

以後、スプリングスティーンは、内容よりも気分が支配的になってしまったアメリカと再度対峙していくことを余儀なくされました。

スプリングスティーンの音楽も優れたものですが、時代の証言としても貴重な一枚です。

Bruce Springsteen/Born In The Usa

Bruce Springsteen

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2008年3月 2日 (日)

パーヴォ・ヤルヴィ指揮バーミンガム市交響楽団 「レナード・バーンスタイン管弦楽曲集」

パーヴォ・ヤルヴィが、録音当時に首席客演指揮者を務めていたバーミンガム市交響楽団を振った「レナード・バーンスタイン管弦楽曲集」(ヴァージン・クラシックス)を紹介します。
丁度10年前、レナード・バーンスタインの生誕80年に当たる1998年の録音。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮バーミンガム市交響楽団 「レナード・バーンスタイン管弦楽曲集」 ということで、今年が生誕90年に当たるレナード・バーンスタイン(愛称:レニー)。指揮者は長生きが多いので、生きていても不思議ではないのですが、レニーの場合は生来病弱だった上に、ヘビースモーカーでアルコール中毒、不摂生で不眠症に悩まされていた、というわけで長生きは出来ず、1990年に亡くなっています。

「ウエストサイド・ストーリー」を始めとするミュージカル、3曲の交響曲、ロックを取り入れたミサ曲など、作曲家としても大活躍したレニー。本人はどちらかというと、指揮もする作曲家のつもりであったようです。

それでも生前は、指揮者としても名声が作曲家としてのそれを大きく上回っており、特にシリアスな作品は十分には理解されない傾向にありました。しかし、没後、レニーが作曲した作品の再評価が進んでいます。レニーが教育熱心であり、弟子達が師であるレニーの作品を現在も演奏し続けているということもレニー作品再評価を後押し、20世紀後半のアメリカを代表する作曲家の座まであと一歩と迫っています。

このCDの指揮者、パーヴォ・ヤルヴィもレナード・バーンスタインの弟子の一人。指揮者としてはパーヴォとレニーの間に共通項は少ないものの、パーヴォも師の音楽を共感を持って奏でています。
バーミンガム市交響楽団は、いかにもイギリスのオーケストラ的な落ち着いた(悪くいうと地味な)音色を持っていて、レニーの作風には合っていないかも知れませんが、パーヴォのドライブにより健闘しています。

「プレリュード、フーガとリフ」、「ファクシミル」、「ウエストサイド・ストーリー」よりシンフォニック・ダンス、「オーケストラのためのディベルティメント」を収録。

「プレリュード、フーガとリフ」は、旋律の一部が「妖怪人間ベム」の主題歌冒頭(♪ 闇に隠れて生きる~)に偶然にも似ていて笑ってしまいそうになります。
「オーケストラのためのディベルティメント」で、オーボエがベートーヴェンの交響曲第5番第1楽章のソロを奏でますが、これは偶然ではなく明らかなパロディです。

バーンスタイン (1918-90)/West Side Story Etc: P.jarvi / Ciry Of Birmingham So

City of Birmingham Symphony Orchestra & Paavo Jarvi

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2007年10月27日 (土)

テディベアの日 英米人の愛称

本日10月27日はテディベアの生みの親ともいうべきセオドア・ルーズベルト第26代アメリカ合衆国大統領の誕生日。ということで「テディベアの日」となっています。
セオドア・ルーズベルト大統領が狩りに出た際、子熊を撃つのをためらって狩りを終えたという美談が新聞で報じられ、これにあやかって、セオドアの愛称である「テディ」を冠した愛らしい熊のぬいぐるみが作られました。これがテディベアです。
ちなみにセオドア・ルーズベルト大統領はテディベアを選挙キャンペーンのマスコットとして用い、再選を果たしています。ということで裏がありそうな気もするのですが、詮索はしないでおきましょう。

さて、セオドアの愛称が「テディ」というように、英語圏では名前と愛称がセットで決まっています。
有名なのは、「トーマス(本名)=トム(愛称)」、「サミュエル(本名)=サム(愛称)」、「ウィリアム(本名)=ウイル、ビル、ウィリー(いずれも愛称)」、「エリザベス(本名)=リズ(愛称)」などですが、他にもあります。

主なものを愛称、本名の順に例を挙げ、実例も記してみたいと思います。

トム(トーマス) トム・クルーズ(俳優 本名:トーマス・クルーズ・メイポーザー四世)、トム・ハンクス(俳優 本名:トーマス・ジェフリー・ハンクス)

サム(サミュエル) サム・シェパード(俳優・劇作家 本名:サミュエル・シェパード・ロジャース)

サミー(サミュエル) サミー・ソーサ(メジャーリーガー 本名:サミュエル・ソーサ・ペラルタ)

ビル(ウィリアム) ビル・クリントン(元アメリカ合衆国大統領 本名:ウィリアム・ジェファーソン・クリントン)、ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者 本名:ウィリアム・ヘンリー・ゲイツ三世)、ビル・エヴァンズ(ジャズピアニスト 本名:ウィリアム・ジョン・エヴァンズ)

ビリー(ウィリアム) ビリー・ザ・キッド(西部開拓時代の伝説の荒くれ者 本名:ウィリアム・ヘンリー・ボニー)、ビリー・ジョエル(ミュージシャン 本名:ウィリアム・マーティン・ジョエル)

リズ(エリザベス) エリザベス・テイラー(女優 愛称はリズ)

ボブ(ロバート) ボブ・ゼメキス(映画監督 ロバート・ゼメキスの名でも有名)、ボブ・マーリー(レゲエミュージシャン 本名:ロバート・ネスタ・マーリー)

ボビー(ロバート) ボビー・バレンタイン(千葉ロッテマリーンズ監督 本名:ロバート・ジョン・バレンタイン)

ジョニー(ジョン) ジョニー・デップ(俳優 本名:ジョン・クリストファー・デップ二世)

ジャック(ジョン) ジャック・ニコルソン(俳優 本名:ジョン・ジョゼフ・ニコルソン)

ベン(ベンジャミン) ベン・アフレック(俳優 本名:ベンジャミン・アフレック)

ジェフ(ジェフリー) ジェフ・ウィリアムス(阪神タイガース投手 本名:ジェフリー・フランシス・ウィリアムス)

ジミー(ジェームズ) ジミー・カーター(元アメリカ合衆国大統領 本名:ジェームズ・アール・カーター.jr)

エディ(エドワード) エディ・マーフィー(俳優 本名:エドワード・レーガン・マーフィー)

メグ(マーガレット) メグ・ライアン(女優 本名:マーガレット・マリー・エミリー・アン・ハイラ)

ジョー(ジョゼフ) ジョー・ディマジオ(元メジャリーガー 本名:ジョゼフ・ポール・ディマジオ)

ミック(マイケル) ミック・ジャガー(ミュージシャン 本名:マイケル・フィリップ・ジャガー)

ベッキー(レベッカ) ベッキー(タレント 本名:レベッカ・英里・レイボーン)

マット(マシュー) マット・デイモン(俳優 本名:マシュー・レイモンド・デイモン)

レニー(レナード) レナード・バーンスタイン(指揮者・作曲家 愛称はレニー)

ダニー(ダニエル) ダニー・ケイ (コメディアン 本名:デイヴィッド・ダニエル・カミンスキー)

ピート(ピーター) ピート・ローズ(元メジャーリーガー 本名:ピーター・エドワード・ローズ)

ディック(リチャード) ディック・フランシス(作家 本名:リチャード・スタンレー・フランシス)

リンゴ(リチャード) リンゴ・スター(ミュージシャン 本名:リチャード・スターキー)

レイ(レイモンド) レイ・ブラッドベリ(作家 本名:レイモンド・ダグラス・ブラッドベリ)

ルイ(ルイス) ルイ・アームストロング(ジャズマン 本名:ルイス・ダニエル・アームストロング)

ウォルト(ウォルター) ウォルト・ディズニー(アニメーション監督、ディズニーランド創設者 本名:ウォルター・イライアス・ディズニー)

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2006年11月 2日 (木)

美国

本当に本当の雑学ですが、北京語ではアメリカのことを「美国」と表記します。別にアメリカのことを美しいと思ったわけではなく、単に音訳で、「美」は北京語で“mei(メイ)”と発音し、アメリカの「メ」にこの字を当てたわけです。「美国」は“Meiguo メイグオ”と発音します。

日本の外国語表記も北京語(漢語)を標準にしているわけですが、日本の場合はアメリカの「メ」に「美=mei メイ」ではなく、「米=mi ミー」という漢字を振ったわけです。

さて、美国ことアメリカは「美しい国」なのか? でもこれに答えはありません。何が美しいかなんて時と状況と対象によって異なるわけで、国家というある意味流動的で多面的な存在に、美という価値基準を……、今宵はここまでに致しとうござりまする。

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