カテゴリー「香港映画」の4件の記事

2016年6月24日 (金)

「夢二」のテーマ 「花様年華」より

沢田研二が竹久夢二を演じた映画「夢二」(鈴木清順監督作品)。その「夢二」のテーマ音楽を王家衛監督が香港映画「花様年華」で再度使用。全編に渡って流れる「夢二」のテーマが作るミステリアスな雰囲気が映画に奥行きを与えています。作曲は梅林茂です。

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2009年7月10日 (金)

これまでに観た映画より(44) 「2046」

DVDで映画「2046」を観る。王家衛監督作品。出演は、トニー・レオン、木村拓哉、章子怡、フェイ・ウォン、コン・リー、カリーナ・ラウ。特別出演にマギー・チャン。

前作「花様年華」の続編とも言うべき作品。恋に敗れた、チャウ(トニー・レオン)はシンガポールにいた。そして、スー・リーチェン(コン・リー)という女に惹かれる。別れた女、スー・リーチェン(マギー・チャン)と全く同じ名前の女。おそらく運命の出会い。しかしチャウは敗れた恋から完全に逃れることは出来なかった。香港に帰るので一緒について来て欲しいというチャウ。スーが出した答えはノーだった。それはチャウにとって運命の、そして最後の恋だった。そしてその最後の恋に敗れたのだ。

スーはいつも黒いドレスを着ている。これが重要な意味を持ってくる。
香港に帰ったチャウはオリエンタルホテルの2046号室を取ろうとする。かって逢瀬を重ねた部屋と同じ番号の部屋だ。しかし2046はさる事情により使えず、隣りの2047号室にチャウは入る。

1960年代のクリスマス・イヴが主な舞台になる。そのため、徹底して赤と緑の色彩のコントラストが用いられている。

2046は中国と香港の一国両制が終わる年であるが、それとは直接的な関係はないようだ。チャウの視線は常に過去を向いている。

最後の恋に敗れたチャウは、もう本気で人を愛することがない。娼婦のバイ・リン(章子怡)やホテルのオーナーの長女・ジンウェン(フェイ・ウォン)と親しくなるが、それも過去を埋めるための遊びだ。チャウは彼女達を見つめてはいない。ちなみに章子怡もフェイ・ウォンも、チャウとつきあうようになると黒いドレスを着る。チャウが彼女達を彼女達と見なさず、彼女達の服装を通して、スーを見つめていることがよくわかる演出だ。

チャウはバイ・リンを恋人ではなく、娼婦として扱う。バイ・リンは報われない恋と知りながら、チャウの渡す金をポイントでも集めるかのように大切にベッドの下にしまっておく。その乙女心が切ない。

ジンウェンは日本人の商社マン(木村拓哉。役名はない)と恋仲である。しかし、彼女の父親が歴史的なこともあって日本人を毛嫌いしており、二人が一緒になれる可能性はほとんどない。キムタクは「俺と一緒に行かないか?」と訊くが、フェイ・ウォンは何も答えない。このシーンは、画冒頭のトニー・レオンとコン・リーのシーンと完全な相似形を成している。

ジンウェンは木村拓哉の問いに、いつか「はい」と答えようと、2046号室で日本語の練習をしている。

チャウは「2046」という小説を書き始める。しかし、ジンウェンの文章力を知ったチャウは彼女を助手として執筆を続け、いつしか、「2046」は彼女のための小説「2047」に書き換わる。2047年。2046から戻ってきたtak(木村拓哉)はアンドロイド(フェイ・ウォン)と恋に落ちる。このアンドロイドも黒い服を着ている。チャウは自分とスーとの関係をこの小説の中で分析しようとする。感情があるのかないのかわからないアンドロイド。スーの心が読めなかったチャウは自分の思いを、takとアンドロイドとの関係に置き換える。そして、彼女は自分を愛していなかったと結論づける。
「俺と一緒に行かないか?」。だがどこへ? その答えを彼は見出せないのだ。

しかし、小説を書き終えたチャウは、ジンウェンに国際電話を掛けさせ、キムタクとの仲を取り持つ。結果、ジンウェンは日本へ行き、結婚する。結婚に大反対だった父親も、娘が結婚を決めたとわかった途端に万々歳。「やはり娘の幸せが一番だ」と改心する。この辺のチャウはまるで恋のサンタクロースのようだ。ジンウェンとキムタクが行くべき場所が彼にはわかったのだ。

黒い服のアンドロイド(フェイ・ウォン)とともに白い服のアンドロイド(カリーナ・ラウが演じる)も登場する。カリーナ・ラウのセリフからわかるが、黒が過去なら、白は未来だ。

チャウはバイ・リンと再び会う。バイ・リンは黒と白のストライプの服を着ている。過去でも未来でもなく現在の彼女。二度目は白の部分が増していた。未来、それに期待する。しかしチャウは結局、バイ・リンを選ぶことはなく、「2047」ではなく、「2046」にとどまるのである。

別れ際、バイ・リン(章子怡)はチャウに言う。「どうしてそんなに優しいの?」
多分、それはチャウがもう誰も愛さないと決めているからだろう。愛さないなら責任も生じないため、いくらでも優しくなれるし、同時にいくらでも残酷になれる。別れると決めている女に優しく振る舞うのは残酷なことでもある。

ナレーションが多く、しかもそれは相変わらず村上春樹調(王家衛監督は自他共に認めるハルキ族の一人である)だ。寓喩や、数字、服装や色の使い方なども村上春樹的である。また映画の結末自体が春樹の小説『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のそれを思わせる。

2046を中国と香港の一国両制が終わる年とするなら、2047(未来)に踏み出せる人達(キムタク、ジンウェン)と、2046(過去、現在および思い出)から抜け出せない、抜け出さない人(チャウ)を描いていると見ることも出来る。
しかしそれはそれで背景とのみ解釈し、寂しい男の寂しい恋愛映画として観た方がずっと面白い。

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2008年5月26日 (月)

香港映画「花様年華」オリジナル・サウンドトラック

王家衛(ウォン・カーウァイ)監督作品「花様年華」のオリジナル・サウンドトラックを紹介します。台湾のロック・レコーズからの発売。

1960年代の香港を舞台にした映画「花様年華」。映画本編も大人の味わいを持つ佳編ですが、オリジナル・サウンドトラックも負けず劣らず充実しています。

「花様年華」オリジナル・サウンドトラック とはいえ、映画のために作られたオリジナル曲は少なく、他の映画のテーマや、ナット・キング・コールの歌うジャズナンバー、中国の民謡や往年のヒット曲などで構成されています。

メインテーマ的に用いられているのは、梅林茂が鈴木清順監督の「夢二」のために書いた「夢二のテーマ」。この曲の持つ夢幻性が映画中でもかなり重要な役割を果たしています。

主演のトニー・レオンとマギー・チャンのセリフも収録。

花様年華/花様年華 In The Mood For Love (特別限定盤) - Soundtrack

花様年華/花様年華 In The Mood For Love - Soundtrack

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2007年6月25日 (月)

ポップな香港映画の嚆矢 『恋する惑星』

王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『恋する惑星』を紹介します。1994年制作、1995年日本公開。私はロードショー時に、東京の銀座テアトル西友(現:銀座テアトルシネマ)に通って何度も観ています。

『恋する惑星』DVDジャケット

上がDVDジャケット。現在、DVDで出ているものは王家衛監督が編集し直した香港版でこれが最終決定版です。ただ日本でロードショーされた時はDVDに収録されたものより8分ほど長いインターナショナルバージョンでした。

下にあるのが銀座テアトル西友で買った、映画のパンフレットです。

映画『恋する惑星』パンフレット表紙はDVDジャケットと全く同じ写真が使われているので、裏表紙をスキャンしてみました。
映画パンフレットというと大して内容のないものも多いのですが、『恋する惑星』のパンフレットは、日本語版シナリオも収録されており、読み応え十分です。

王家衛監督が注目を集めたのは、レスリー・チャンらが出演した『欲望の翼』(1990年制作)ですが、世界的な評価を勝ち得たのが本作品『恋する惑星』。原題は『重慶森林』。重慶とは中国の重慶市ではなく、香港にある重慶大廈(チョンキンマンション)のこと。映画にも出てきますが、インド系移民が多く住んでおり、一種の無法地帯と化している香港で最も危険な場所の一つです。この映画は重慶マンション一帯を舞台にしていますが、当然ながら撮影許可は下りなかったため、ほぼ全編無許可のゲリラ撮影が敢行されました。

また『重慶森林』は村上春樹の小説『ノルウェイの森』に影響されたタイトルでもあります。1990年代、香港では村上春樹の小説がブームとなり、村上春樹の小説の登場人物のような話し方をする若者が増えたこともありました(村上春樹の小説のファンや村上春樹に影響を受けた若者はハルキ族と呼ばれた。王家衛監督も自他共に認めるハルキ族の一人である)。この映画でも、金城武やトニー・レオンが思いっきり村上春樹風のモノローグを語っています。

出演:金城武、ブリジット・リン、フェイ・ウォン、トニー・レオンほか。撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)ほか。

一瞬の恋を描いた前編と、奇妙な女と鈍い男を描いた後編から成る連作。「恋愛映画」の既成概念を覆す斬新な一本です。

Movie/恋する惑星(Rmt)

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