カテゴリー「台湾映画」の2件の記事

2008年6月 4日 (水)

これまでに観た映画より(24) 「藍色夏恋」

DVDで台湾映画「藍色夏恋」を観る。イー・ジーイェン監督作品。チェン・ボーリン、グイ・ルンメイ主演。2001年の作品。
高校を舞台にした恋愛映画である。

師範大学付属高に通う女子高生のモン・クーロウ(グイ・ルンメイ)は、親友のリン・ユエチェン(リャン・シューフイ)と、ユエチェンが好きなチャン・シーハオ(チェン・ボーリン)という男の子の間を取り持とうとする。しかし、チャン・シーハオにユエチェンを紹介しようとしたところ、肝心のユエチェンが姿を消していた。チャンは「ユエチェンなんて本当はいないんだろう」と決めつけ、モン・クーロウを好きになり始めてしまう。

まず独特の色彩美に溢れる映像が美しい。肝心なシーンではセリフをほとんど使わず、動作で心理を表現する手法も上手いと思う。
爽やかな青春映画ではあるけれど、単純な青春賛美には終わらず、かといって暗さは排除してある。
ピアノによるシンプルな映画音楽も素敵だ。
傑作ではないかも知れないけれど、愛すべき佳編である。

ちなみに劇中に、「木村拓哉」の名前が出てくる。キムタクが台湾でも大変な人気であることがわかる。

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2007年7月 5日 (木)

これまでに観た映画より(3) 『河』

ビデオで映画『河』を観る。台湾映画。蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督作品。

シャオカンは街でたまたま知り合いの女性と出会う(何と台北の三越の前でである)。彼女は映画関係の仕事をしていて、シャオカンは何故か河に浮かぶ死体役を演じる羽目になる。それ以来、シャオカンは首の痛みにつきまとわれるようになり…。

「河は遠くから見ると綺麗だが、近くで見ると汚れている。現代社会もそうだ」と蔡明亮監督がインタビューで語っていたのを以前雑誌で読んだことがある。

シャオカンの家族は静かに暮らしている。だが実際は父親は男色に耽り、母親は不倫をしている。シャオカンは職もなく友達もいないというひたすら孤独な日常を過ごしている。

水のイメージが全体を支配している。河の流れ、シャオカンの家族が暮らすアパートの上の部屋からへ水が漏れてきており、ついには床を水浸しにしてしまう。河につかったことから首の病に取り憑かれたことと、これはリンクしている。逆らえない何かに心身共にハイジャックされたような心象風景として。
ゲイのサウナクラブ(というものが台湾にはあるらしい)の一室の闇の中でシャオカンはある男に抱かれる。ところが明かりを点けてみると何とそれは父親だった。近くにいる家族の闇。その不気味さ。ゲイのサウナクラブの暗い廊下をさまようシャオカンの姿がそれを象徴的に表す。
ラストでシャオカンはビルのテラスに出る。飛び降りようとしたがそれも叶わなかったようだ。
この映画の特徴はセリフの極端な少なさ。みなほとんど喋らないのである。黙然としている人物をカメラは長回しで捉えている。
エンドテロップにも音楽は流れない。音楽という救済を捨ててしまったかのような絶望と孤独感が息苦しくなるほどに迫ってくる。

蔡明亮監督は2002年に来日。京都にも訪れ、京都国際交流会館イベントホールでの『ふたつの時、ふたりの時間』の上映会に参加。トークを行った。私もこれを見に行っている。『ふたつの時、ふたりの時間』はクロスカッティングの手法、かと思いきや、二つの世界は最後まで重ならないという救いがたい絶望を描いた映画だった。

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