カテゴリー「DVD」の32件の記事

2009年7月 4日 (土)

DVDBOX 「七瀬ふたたび」

2008年の秋に放送された連続ドラマ、NHK「七瀬ふたたび」のDVDBOX。NHKエンタープライズの発行、ポニーキャニオンからの発売。DVD6枚組。

DVDBOX「七瀬ふたたび」

原作:筒井康隆、脚本:伴一彦&真柴あずさ、主演:蓮佛美沙子、出演は、塩谷瞬、水野美紀、柳原可奈子、郭智博、宮坂健太、載寧龍二、今井朋彦、光石研、北村総一郎、小日向文世、市川亀治郎ほか。

<あらすじ>
田中七瀬(蓮佛美沙子)は老人ホームで介護士として働いている。そんな七瀬の母親が事故に遭う。母親が息を引き取る瞬間、七瀬は母親の記憶を読み取る。七瀬がテレパスに目覚めた瞬間だった。七瀬は母親の記憶から自分の過去と父親の火田精一郎(小日向文世)が残した謎の言葉を知る。その謎を探るため、七瀬は父親の苗字である火田を名乗り、火田七瀬として東京に向かう……

新進女優、蓮佛美沙子の才能が輝く連続テレビドラマシリーズ。「七瀬ふたたび」のドラマ化は4度目となりますが、新たな七瀬像を生み出しています。

特典としてメイキング映像や蓮佛美沙子のインタビューを収めたDVDが入っています。

DVDBOX「七瀬ふたたび」(HMV) icon

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2009年3月 4日 (水)

DVD 柴田淳 「JUN SHIBATA CONCERT TOUR2008 月夜PARTY vol.1 ~しばじゅん、アイスクリームからサニーへ~」

柴田淳が2008年の秋に行った全国ツアーの最終日、東京国際フォーラム・ホールAでのコンサートの模様を全曲収録されたDVDが発売されました。「JUN SHIBATA CONCERT TOUR2008 月夜PARTY vol.1 ~しばじゅん、アイスクリームからサニーへ~」(ビクター・エンタテインメント)です。

柴田淳 DVD「JUN SHIBATA CONCERT TOUR2008 月夜PARTY vol.1 ~しばじゅん、アイスクリームからサニーへ~」


ちなみにジャケットのイラストは柴田淳本人の手によるものです。

しばじゅんさんが音楽を志すきっかけとなった憧れの人、塩谷哲との共演もこのコンサートで果たされました。

シングル曲でもある「カラフル」にはじまり、自ら代表作という「月光浴」、「となりの部屋」、「それでも来た道」の3曲が立て続けに歌われたり、最新アルバム『親愛なる君へ』に収録された人気曲「君へ」、ジャジーな「メロディ」、しばじゅんさんの人生ソング「ため息」など、全18ナンバー16曲と、デビュー曲である「ぼくの味方」など2曲のアンコール曲。アカペラで歌った「花吹雪」などを収録。

ボブカットのウィッグをつけ、4種類の衣装で登場する、しばじゅんさんのパフォーマンスも魅力的です。

柴田淳 「JUN SHIBATA CONCERT TOUR2008 月夜PARTY vol.1 ~しばじゅん、アイスクリームからサニーへ~」 icon

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2008年12月31日 (水)

柴田淳 DVD「jun shibata TOUR2007 ~しばじゅん、はじめました!~」

柴田淳の2007年のライブツアー「しばじゅん、はじめました!」の東京厚生年金会館における追加公演の模様を収録したDVDを紹介します。ビクターエンタテインメント。

柴田淳 DVD「柴田淳 TOUR2007 しばじゅん、はじめました」

「しばじゅん」こと柴田淳がデビュー6年目にて初めて行ったライブツアー。ということで、ツアータイトルは、「しばじゅん、はじめました」。

「おかえりなさい。」に始まり、ブラックコメディ「王子様」シリーズのメドレー、「かなわない」「真夜中のチョコレート」「片想い」「月光浴」など大人のムードに溢れた楽曲の数々、ショートフィルム「HIROMI」からの映像ハイライトとシングル曲「HIROMI」、インディーズ時代の曲である「パズル」など、全15曲、18チャプターを収録。見応え聴き応え十分です。

途中、メンバー紹介でメンバーの名前をど忘れしたり、「花吹雪」の1番で2番の歌詞を歌ってしまったため、続きの歌詞が飛んでしまい、20秒ほど歌えなくなるところなど、「カットしてもいいんじゃないか」と思うところもそのまま収録しているのが、しばじゅんさんらしくて逆に好感が持てます。

小栗旬のラジオ番組に出演した際に、しばじゅんさん自身が、「(歌が終わって)MCになると(聴衆が)みんなこける」と発言している通り、トークになると確かに、「素人の人出てきちゃったなあ」という感じになりますが、音楽の才能とルックスに恵まれて、その上、トークも抜群だったら却って嫌みになるかも知れず、しばじゅんさんの持ち味である親しみやすさが、商品化され得ないタイプのトークによって逆に生きているとも評価できます。

ともかく名曲揃いのライブ、お薦めです。お楽しみ下さい。

柴田淳/Jun Shibata Tour 2007: しばじゅん、はじめました!

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2008年12月30日 (火)

DVD 演劇集団キャラメルボックス 「きみがいた時間ぼくのいく時間」

演劇集団キャラメルボックスの公演「きみがいた時間ぼくのいく時間」を収録したDVDを紹介します。2008年4月、東京・池袋のサンシャイン劇場での収録。NHKエンタープライズの発行・販売。

「黄泉がえり」の梶尾真治の同名小説の舞台化。脚本・演出:成井豊。主演:上川隆也、西山繭子。出演は、西川浩幸、温井摩耶、阿部丈二、渡邊安理、筒井俊作、坂口理恵、岡田達也、左東広之、青山千洋、三浦剛、小林千恵。出演&ストーリーテラー:岡内美喜子。

演劇集団キャラメルボックスは、内容のわかりやすい劇をやっていて、それゆえに人気を博していますが、基本的に若者向けであり、演劇入門者をも意識した芝居作りをしているので、演劇を見慣れた方には「煩わしい」と思えるほどの説明過多の部分や、ストーリーと直結したセリフの用い方などの特徴があり、苦手と感じる人も多い団体です。

この「きみのいた時間ぼくのいく時間」でもそうした傾向は変わりませんが、この劇の場合は、主演である上川隆也の魅力で見せるという意図があり、ストーリー自体も感動できる要素が多く、多くの人に薦められます。DVD映像特典として、上川隆也、西山繭子、坂口理恵、成井豊、西川浩幸による座談会の模様(約38分)が収められています。

DVD 演劇集団キャラメルボックス「きみがいた時間ぼくのいく時間」(NHKエンタープライズ) 私は大阪厚生年金会館芸術ホールでの公演を観ていますが、客層が普段とキャラメルボックスとは明らかに違い、上川隆也ファンと思われる女性が多いのが印象的でした。上川隆也は青年期から老年まで、メイクを一切変えず、声と動作の変化だけで年齢の移り変わりを表現していますが、これが実に巧み。演劇人にも参考にして貰いたいDVDです。

演劇集団キャラメルボックス「きみがいた時間ぼくのいく時間」の概要と感想

2008年4月23日 大阪・新町の大阪厚生年金会館芸術ホールにて観劇

午後7時より、大阪・新町にある大阪厚生年金会館芸術ホールで、演劇集団キャラメルボックスの公演「きみがいた時間 ぼくのいく時間」を観る。
梶尾真治の同名の短編小説の舞台化。脚本・演出:成井豊。共同脚本・演出:隈部雅則。主演:上川隆也、西山繭子。出演は、西川浩幸、温井摩耶、阿部丈二、渡邉安理、筒井俊作、坂口理恵、岡田達也、左東広之、青山千洋、三浦剛、小林千恵。出演&ストーリーテラー:岡内美喜子。

人気劇団である演劇集団キャラメルボックスであるが、ここの芝居が苦手な人も多い。
かくいう私もその一人。キャラメルボックスは、東京のUHF局である東京MXテレビと契約を結んでいて、過去の公演が頻繁に放送される。関東にいた頃は私もなるべく観るようにしていたのだが、本当に面白いと思えたのは「また逢おうと龍馬は言った 1995」ぐらい。「嵐になるまで待って」も良かったかな。

公演を観に行ったのは、「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」(2000)以来だから8年ぶりになる。

キャラメルボックスが苦手な理由は、何といっても成井さんの作風で、舞台が開かれすぎている、別の言い方をすると登場人物の性格やストーリーの展開がステレオタイプに陥る確立が非常に高いということ。学生演劇のノリを頑なに守り続けているという気もする。

またキャラメルボックスは、早稲田演劇の一番悪い部分を継承してしまってもいて、俳優の発声が思いっ切り演劇していたり、身振り手振りが大きく且つ説明的だったり、セリフも説明に傾きすぎていたり。

俳優の発声が思いっ切り演劇しているというのは、俳優、特に女優さんにとっては問題で、とにかく大声を出して喉を潰してそれでも発声して、ということをするために、声の良い女優さんがほとんどいないのである。舞台女優にとって声が魅力的であることはルックス以上に重要なので、これは何とかしないと。

キャラメルの女優陣の声は以前よりも良くなっているけれど、それでも客演の西山繭子の声が一番綺麗というのは劇団としてまずいのではないかと思うのだが。

今回の公演は、原作があり、上川隆也が3年ぶりに出て、ヒロインを西山繭子(伊集院静の次女。小説家としても活躍している)が務めるということで観に出かけてみた。

キャラメルボックスの演劇の常として、受け狙いの身振り、余計だったり思いっ切り不自然で説明的だったり体がかゆくなるほどくさいセリフがあったりしたが、そういうのは観なかった聞かなかったことにして、ストーリーに集中。不満なところもイメージ補正して観る。お陰でいつも以上に疲れたけれど。

キャラメルボックスの公演は、これまでずっと一幕休憩なし、上演時間2時間以内だったが、今回は上演時間が2時間を超えるということで、キャラメルボックス史上初の途中休憩あり公演となった。上演時間は15分休憩を含めて2時間40分という大作である。

ストーリー自体に特に新鮮味はないし、基本的にはメロドラマ(実際にメロディーはずっと流れているし)路線でもあるけれど、今回の公演はキャラメルの芝居とは思えないほど感動的な仕上がりになっていた。原作があるということもあるだろうけれど、成功の大半は上川隆也の力。
キャラメルボックスは二枚看板で、西川浩幸という、これまた良い俳優がいるけれど、今回の劇は上川以外の主役は考えられない。
上川隆也はそれほどに良かった。

それに上川隆也は、その演技技術を盗みたくなる俳優でもあり、盗める俳優であるとも思う。他の劇団の舞台俳優も上川の演技はなるべく見るようにして、技術を向上させて欲しい。

演劇集団キャラメルボックス/きみがいた時間 ぼくのいく時間 2008年版

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2008年10月 4日 (土)

小林香織 DVD「Kaori Kobayashi LIVE」

フュージョン系ジャズ・アルトサックス&フルート奏者の小林香織が2006年6月28日にSTB139で行ったライヴを収録したDVDを紹介します。その名もずばり「Kaori Kobayashi LIVE」(ビクター・エンタテインメント)。

小林香織 DVD「Kaori Kobayashi LIVE」 実力とアイドル性を兼ね備えたジャズサキソフォンプレーヤーとして注目される小林香織。基本的にはアルト・サキソフォンを演奏しますが、カバー曲である「FREE」はフルート一本で演奏しています(アルバム「FINE」には、フルートとサックスを重ねたバージョンが収められています。しかし、ライヴではフルートとサックスを同時に演奏するわけにはいかなですからね。三谷幸喜の「オケピ!」じゃないんだから)。

演奏そのものも音も良いですが、小林香織が実に楽しそうに演奏しているのも見所の一つ。ライヴの醍醐味の一つとして、プレーヤー同士のアイコンタクトを確認する楽しさがありますが、小林香織と他のプレーヤーとのアイコンタクトは見ているこちらも微笑んでしまうほど好感が持てます。
バックを務めるのは、笹路正徳(キーボード)、天野清継(エレキ・ギター)、日野賢二(エレキ・ベース)、村上“ポンタ”秀一(ドラムス)。

「SOLOR」、「BIRD ISLAND」、「KIRA-KIRA」、「FREE」、「MOMENT OF LONELINESS」、「ENERGY」ほか全12曲13テイクを収録。ボーナスフィーチャーとして(時間は短いですが)舞台裏の様子なども収められています。そして何故か、小林香織と一緒にドライブした気分になれるスライドショー付き。

小林香織/Live At Stb139

Kaori Kobayashi LIVE

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2008年9月12日 (金)

これまでに観た映画より(35) 「セプテンバー11」

DVDで映画「セプテンバー11」を観る。2002年の作品。世界11カ国の映画監督が、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ(9・11)を題材にして作った、それぞれ11分9秒01の長さのショートフィルムが連続して上映されるというオムニバス作品。日本からは今村昌平監督が参加。本作品が今村昌平の遺作となった。
参加した国は上映順に、イラン、フランス、エジプト、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルキナファソ、イギリス、メキシコ、イスラエル、インド、アメリカ、日本。
9・11発生直後にアメリカで起こった、平和ソング放送規制への反抗からか、表現の自由をテーマにしており、作風の統一は一切見られない。

DVD「セプテンバー11」 当然、シリアスな作品が多い。
メキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(代表作「バベル」)は、真っ暗の画面を使って、呪文のような声と音楽で独特の雰囲気を作り出し、時折衝撃音を入れている。この衝撃音が何を意味するのかは作品の途中でわかり、ラストのメッセージで、何故、暗闇のままの映像を用いていたのかが明かされる仕掛けになっている。

イギリスのケン・ローチ監督は、チリで起こったクーデターを題材にしている。1970年、民主的な選挙により、チリに共産主義政権が誕生する。しかし共産主義を怖れていたアメリカが内政干渉。アメリカは更にチリ国内の反共勢力を支援、クーデターを起こさせる。
1973年9月11日、CIAの支援を受けたピノチェトが蜂起する。共産政権の大統領であったアジェンデは大統領官邸内に籠もって抗戦、戦死した。
赤狩りを逃れ、ロンドンで暮らす男性(ウラジミール・ヴェガが演じる)を主人公として、アメリカの「正義」に疑問を投げかけ、全ての犠牲者を追悼するという深く苦い味わいのある作品に仕上げている。

シリアスな作品が続く中で、ブルキナファソのイドリッサ・ウエドラエゴ監督は、ブルキナファソの田舎町に現れたビンラディンに似たアラブ系男性を巡るコミカルなムービーを作っている。

今村昌平監督の作品は独特。他の監督が、倒壊する世界貿易センターの映像や、9月11日という日付を使っているのに、今村監督はそうしたものを一切使わずに戦争の狂気を描き出す。舞台はアジア・太平洋戦争終結直後の日本の寒村。戦争から帰還した男(田口トモロヲ)は、すでに発狂しており、自分が蛇だと思いこんで地を這い、ネズミを丸呑みにしたりする。
出演者は豪華。田口トモロヲ、麻生久美子、柄本明、倍賞美津子、丹波哲郎、市原悦子のほか、緒方拳がナレーションを担当し、出演もする。
役所広司もワンシーンだけ出ているが、後ろの方にただいるだけでセリフは全くなし。カメオ出演のようなものとはいえ、贅沢な使い方である。

Movie/セプテンバー 11

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2008年9月 6日 (土)

DVD 遊佐未森 「clematis」

遊佐未森のミュージックビデオや東京厚生年金会館でのコンサート映像などを収めたDVD「clematis」を紹介します。

DVD 遊佐未森「clematis」 青い光を効果的に生かした「cocoa」のプロモーションビデオ(PV)、未森さんがなぜかチャイナドレスを着ている「タペストリー」のPV、未森さんのコメント集「clematistory 暮町物語」1~4。東京厚生年金会館でのライブ映像である「眠れぬ夜の庭で」、「still room」、「life in the tree house」、鎌倉の街や海の映像が収められた「poplar」(江ノ電の映像も入っています)のPV、ホワイトトーンの映像が美しい「I'll remember」のPVを収録。

「暮町物語」のコメントでは、タイトルである「clematis クレマチス」ことテッセンに関する未森さんの思い出や、鎌倉の海辺での生活のことなどを聞くことが出来ます。

DVD 遊佐未森「クレマチス」(HMV)

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2008年9月 1日 (月)

DVD パーヴォ・ヤルヴィ指揮EUユース・オーケストラ ブルックナー交響曲第5番ほか

パーヴォ・ヤルヴィが、祖国であるエストニアの首都タリンで、EUユース・オーケストラを指揮した演奏会の模様を収めたDVDを紹介します。2004年の収録。日本ではタワーレコードのみでの独占発売となります。

DVD パーヴォ・ヤルヴィ指揮EUユース・オーケストラ ブルックナー交響曲第5番ほか EUユース・オーケストラは、その名の通り、EU各国から選抜された若者達によるオーケストラ。ユース・オーケストラとはいえ、ハイレベルで、並の常設オーケストラよりもずっと良い演奏をします。

演奏されているのは、エストニアの作曲家、エルッキ=スヴェン・トゥールの「アディトゥス」と、ブルックナーの交響曲第5番。

EUユース・オーケストラの女性団員は、全員、EUの旗をモチーフにした青地に星のマークの散りばめられたドレスで出演。燕尾服姿の男性奏者も青地に星のマークの入ったおそろいの蝶ネクタイをつけています。

おそらくPAL方式で録画されたものをNTSC方式に変換したDVDで、映像変換によりソフトフォーカスになったり、たまに演奏者達の動きが不自然に見えたり、ブラックアウトも一カ所ありますが、音楽を楽しむ上では不満なし。

パーヴォ・ヤルヴィは、先日、フランクフルト放送交響楽団を指揮した、ブルックナーの交響曲第7番のCDをRCAレーベルからリリースしましたが、パーヴォのブルックナーは交響曲第7番よりも交響曲第5番の方が個性に合っているようで、リズム感抜群の音楽をラストに向けて積み上げていきます。名演。

Paavo Jarvi Conducts EUYO -On Glasperlenspiel Festival: Bruckner: Symphony No.5; E-S.Tuur: Aditus / Paavo Jarvi, European Union SO

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2008年8月 4日 (月)

DVD「カールハインツ・シュトックハウゼン  『ヘリコプター弦楽四重奏曲』」

ヘリコプター4機に弦楽四重奏団のメンバーが一人ずつ乗り込み、演奏を繰り広げるという「ヘリコプター弦楽四重奏曲(ヘリコプター四重奏曲)」。
その作曲者であるカールハインツ・シュトックハウゼンと、演奏するアルディッティ弦楽四重奏団によるリハーサルと本番の模様を、インタビューを交えながら紹介するDVDがメディチ・アーツから登場しました。

DVD「カールハインツ・シュトックハウゼン 『ヘリコプター弦楽四重奏曲』」 リハーサル時やアルディッティ弦楽四重奏団のメンバーへのインタビューでは主に英語が、シュトックハウゼン個人へのインタビューではドイツ語が用いられていますが、このDVDには日本語字幕も用意されているので、英語やドイツ語がわからなくても、内容を理解することが出来ます。

1995年5月5日からオランダでリハーサルと撮影が始まり、同年の6月26日のオランダ・フェスティバルで、「ヘリコプター弦楽四重奏曲」は初演されます。

初演の模様も収められていますが、残念ながら全曲ではなく、部分部分です。

ヘリコプター弦楽四重奏曲では、奏者達がドイツ語で、「アイン! ツヴァイ! ドライ!」と数字を数えますが、その数え方までもシュトックハウゼンが細かく指導しているのがわかります。更に、ヘリコプター四重奏曲は、飛ぶ夢を多く見るというシュトックハウゼンの夢想から生まれたものですが、最初に構想が浮かんだ直後は、「きちがいだと思われるのではないか」とシュトックハウゼン本人も考えたそうで、身近な人にも構想を語らなかったということがインタビューでもわかります。

音符が交錯するため、赤(ファーストヴァイオリン)、青(セカンドヴァイオリン)、緑(ヴィオラ)、オレンジ(チェロ)という4つの色で楽譜が書かれた「ヘリコプター弦楽四重奏曲」という特異な楽曲と現代音楽、そしてシュトックハウゼンを知る上で興味深い映像です。

シュトックハウゼン  カールハインツ (1928-2007)/Helicopter Quartet: Arditti Q

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2008年6月22日 (日)

『蟹工船』と『戦艦ポチョムキン』

プロレタリア文学の最高峰であり、最近再び注目を浴びている小林多喜二の『蟹工船』。カムチャッカ(作品中ではカムサツカ)沖で蟹漁を行うオンボロ工場船における労働者の悲惨としかいいようのない待遇と、上官(特に浅川監督)の人を人とも思わない非人間性を渾身の筆で描き抜いた作品です。

小林多喜二 『「蟹工船」「一九二八・三・一五」』(岩波文庫) 蟹工船には即戦力になるよう、農村から学のある真面目な若者を労働者として雇っていましたが、若者は学があるために「ストライキ」なるものを漁夫に教え、広め、船員達はストライキを敢行。一応の成功を見ます。しかし……。

岩波文庫に併録されている「一九二八・三・一五」では、共産主義のために活動している個々や団体に焦点を当てて書いた小林多喜二ですが、「蟹工船」は、それとは真逆の群衆劇であり、労働者側の個々の個性がなるべく目立たないように工夫されています。

附記という形で語られるストライキの顛末が楽天的に過ぎるのではないかという弱点はありますが、執筆当時25歳だった小林多喜二としては会心の出来だったと思われます。資本家のみならず、帝国主義の軍隊、全体主義の大日本帝国の国策、更には「献上品」の蟹という形で出てくるトップへの批判など、相当の勇気を持って書かれた作品であり、視野の広さという点において、私小説的なものから抜け出せなかったそれまでのプロレタリア文学から一歩進んだ小説であるといっていいでしょう。

『蟹工船』とよく似た設定を持った映画として多くの人が思い浮かべるのが、世界映画史上屈指の名作として知られる『戦艦ポチョムキン』。実際にあった事件を基にして作られた映画であり、監督は「モンタージュ理論」の完成者として知られるセルゲイ・エイゼンシュタイン。1925年のサイレント作品ですが、本国であるソビエトでも検閲に次ぐ検閲で満足に上映されないという状態でした。日本で上映されたのは第二次大戦が終わってから。ということで、設定は似ていますが、小林多喜二が『蟹工船』のモデルとしたという事実はありません。

DVD『戦艦ポチョムキン』 しかしエイゼンシュタインもソ連のプロレタリア芸術協会の会員であり、世界中で資本階級と労働者階級の軋轢が露見しつつある時代であったということもあり、『蟹工船』と『戦艦ポチョムキン』のシンクロニシティは必然として起こったと見ることも出来ます。

『戦艦ポチョムキン』は、1905年に起こった「ポチョムキンの反乱」を題材として撮られた映画であり、ウジのわいた肉を食べさせられるなどした水兵達が不満を爆発させ、ストライキを決行。上官達は水兵達を抑えつけようとし、銃殺までしようとしますが、最後は水兵側が勝利。
映画のラストでも水兵の勝利が描かれていますが、これは史実ではなく、実際は、反乱を起こした水兵達は死罪に処せられました。

IVCから出ている「戦艦ポチョムキン」のDVDには、なつかしの淀川長治による解説が収められています。

小林多喜二 『蟹工船 一九二八・三・一五』(岩波文庫) 紀伊國屋書店BookWeb

Antonov / Eizenstein/戦艦ポチョムキン Bronenosets Potyomkin

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