カテゴリー「DVD」の28件の記事

2008年10月 4日 (土)

小林香織 DVD「Kaori Kobayashi LIVE」

フュージョン系ジャズ・アルトサックス&フルート奏者の小林香織が2006年6月28日にSTB139で行ったライヴを収録したDVDを紹介します。その名もずばり「Kaori Kobayashi LIVE」(ビクター・エンタテインメント)。

小林香織 DVD「Kaori Kobayashi LIVE」 実力とアイドル性を兼ね備えたジャズサキソフォンプレーヤーとして注目される小林香織。基本的にはアルト・サキソフォンを演奏しますが、カバー曲である「FREE」はフルート一本で演奏しています(アルバム「FINE」には、フルートとサックスを重ねたバージョンが収められています。しかし、ライヴではフルートとサックスを同時に演奏するわけにはいかなですからね。三谷幸喜の「オケピ!」じゃないんだから)。

演奏そのものも音も良いですが、小林香織が実に楽しそうに演奏しているのも見所の一つ。ライヴの醍醐味の一つとして、プレーヤー同士のアイコンタクトを確認する楽しさがありますが、小林香織と他のプレーヤーとのアイコンタクトは見ているこちらも微笑んでしまうほど好感が持てます。
バックを務めるのは、笹路正徳(キーボード)、天野清継(エレキ・ギター)、日野賢二(エレキ・ベース)、村上“ポンタ”秀一(ドラムス)。

「SOLOR」、「BIRD ISLAND」、「KIRA-KIRA」、「FREE」、「MOMENT OF LONELINESS」、「ENERGY」ほか全12曲13テイクを収録。ボーナスフィーチャーとして(時間は短いですが)舞台裏の様子なども収められています。そして何故か、小林香織と一緒にドライブした気分になれるスライドショー付き。

小林香織/Live At Stb139

Kaori Kobayashi LIVE

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2008年9月12日 (金)

これまでに観た映画より(35) 「セプテンバー11」

DVDで映画「セプテンバー11」を観る。2002年の作品。世界11カ国の映画監督が、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ(9・11)を題材にして作った、それぞれ11分9秒01の長さのショートフィルムが連続して上映されるというオムニバス作品。日本からは今村昌平監督が参加。本作品が今村昌平の遺作となった。
参加した国は上映順に、イラン、フランス、エジプト、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルキナファソ、イギリス、メキシコ、イスラエル、インド、アメリカ、日本。
9・11発生直後にアメリカで起こった、平和ソング放送規制への反抗からか、表現の自由をテーマにしており、作風の統一は一切見られない。

DVD「セプテンバー11」 当然、シリアスな作品が多い。
メキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(代表作「バベル」)は、真っ暗の画面を使って、呪文のような声と音楽で独特の雰囲気を作り出し、時折衝撃音を入れている。この衝撃音が何を意味するのかは作品の途中でわかり、ラストのメッセージで、何故、暗闇のままの映像を用いていたのかが明かされる仕掛けになっている。

イギリスのケン・ローチ監督は、チリで起こったクーデターを題材にしている。1970年、民主的な選挙により、チリに共産主義政権が誕生する。しかし共産主義を怖れていたアメリカが内政干渉。アメリカは更にチリ国内の反共勢力を支援、クーデターを起こさせる。
1973年9月11日、CIAの支援を受けたピノチェトが蜂起する。共産政権の大統領であったアジェンデは大統領官邸内に籠もって抗戦、戦死した。
赤狩りを逃れ、ロンドンで暮らす男性(ウラジミール・ヴェガが演じる)を主人公として、アメリカの「正義」に疑問を投げかけ、全ての犠牲者を追悼するという深く苦い味わいのある作品に仕上げている。

シリアスな作品が続く中で、ブルキナファソのイドリッサ・ウエドラエゴ監督は、ブルキナファソの田舎町に現れたビンラディンに似たアラブ系男性を巡るコミカルなムービーを作っている。

今村昌平監督の作品は独特。他の監督が、倒壊する世界貿易センターの映像や、9月11日という日付を使っているのに、今村監督はそうしたものを一切使わずに戦争の狂気を描き出す。舞台はアジア・太平洋戦争終結直後の日本の寒村。戦争から帰還した男(田口トモロヲ)は、すでに発狂しており、自分が蛇だと思いこんで地を這い、ネズミを丸呑みにしたりする。
出演者は豪華。田口トモロヲ、麻生久美子、柄本明、倍賞美津子、丹波哲郎、市原悦子のほか、緒方拳がナレーションを担当し、出演もする。
役所広司もワンシーンだけ出ているが、後ろの方にただいるだけでセリフは全くなし。カメオ出演のようなものとはいえ、贅沢な使い方である。

Movie/セプテンバー 11

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2008年9月 6日 (土)

DVD 遊佐未森 「clematis」

遊佐未森のミュージックビデオや東京厚生年金会館でのコンサート映像などを収めたDVD「clematis」を紹介します。

DVD 遊佐未森「clematis」 青い光を効果的に生かした「cocoa」のプロモーションビデオ(PV)、未森さんがなぜかチャイナドレスを着ている「タペストリー」のPV、未森さんのコメント集「clematistory 暮町物語」1~4。東京厚生年金会館でのライブ映像である「眠れぬ夜の庭で」、「still room」、「life in the tree house」、鎌倉の街や海の映像が収められた「poplar」(江ノ電の映像も入っています)のPV、ホワイトトーンの映像が美しい「I'll remember」のPVを収録。

「暮町物語」のコメントでは、タイトルである「clematis クレマチス」ことテッセンに関する未森さんの思い出や、鎌倉の海辺での生活のことなどを聞くことが出来ます。

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2008年9月 1日 (月)

DVD パーヴォ・ヤルヴィ指揮EUユース・オーケストラ ブルックナー交響曲第5番ほか

パーヴォ・ヤルヴィが、祖国であるエストニアの首都タリンで、EUユース・オーケストラを指揮した演奏会の模様を収めたDVDを紹介します。2004年の収録。日本ではタワーレコードのみでの独占発売となります。

DVD パーヴォ・ヤルヴィ指揮EUユース・オーケストラ ブルックナー交響曲第5番ほか EUユース・オーケストラは、その名の通り、EU各国から選抜された若者達によるオーケストラ。ユース・オーケストラとはいえ、ハイレベルで、並の常設オーケストラよりもずっと良い演奏をします。

演奏されているのは、エストニアの作曲家、エルッキ=スヴェン・トゥールの「アディトゥス」と、ブルックナーの交響曲第5番。

EUユース・オーケストラの女性団員は、全員、EUの旗をモチーフにした青地に星のマークの散りばめられたドレスで出演。燕尾服姿の男性奏者も青地に星のマークの入ったおそろいの蝶ネクタイをつけています。

おそらくPAL方式で録画されたものをNTSC方式に変換したDVDで、映像変換によりソフトフォーカスになったり、たまに演奏者達の動きが不自然に見えたり、ブラックアウトも一カ所ありますが、音楽を楽しむ上では不満なし。

パーヴォ・ヤルヴィは、先日、フランクフルト放送交響楽団を指揮した、ブルックナーの交響曲第7番のCDをRCAレーベルからリリースしましたが、パーヴォのブルックナーは交響曲第7番よりも交響曲第5番の方が個性に合っているようで、リズム感抜群の音楽をラストに向けて積み上げていきます。名演。

Paavo Jarvi Conducts EUYO -On Glasperlenspiel Festival: Bruckner: Symphony No.5; E-S.Tuur: Aditus / Paavo Jarvi, European Union SO

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2008年8月 4日 (月)

DVD「カールハインツ・シュトックハウゼン  『ヘリコプター弦楽四重奏曲』」

ヘリコプター4機に弦楽四重奏団のメンバーが一人ずつ乗り込み、演奏を繰り広げるという「ヘリコプター弦楽四重奏曲(ヘリコプター四重奏曲)」。
その作曲者であるカールハインツ・シュトックハウゼンと、演奏するアルディッティ弦楽四重奏団によるリハーサルと本番の模様を、インタビューを交えながら紹介するDVDがメディチ・アーツから登場しました。

DVD「カールハインツ・シュトックハウゼン 『ヘリコプター弦楽四重奏曲』」 リハーサル時やアルディッティ弦楽四重奏団のメンバーへのインタビューでは主に英語が、シュトックハウゼン個人へのインタビューではドイツ語が用いられていますが、このDVDには日本語字幕も用意されているので、英語やドイツ語がわからなくても、内容を理解することが出来ます。

1995年5月5日からオランダでリハーサルと撮影が始まり、同年の6月26日のオランダ・フェスティバルで、「ヘリコプター弦楽四重奏曲」は初演されます。

初演の模様も収められていますが、残念ながら全曲ではなく、部分部分です。

ヘリコプター弦楽四重奏曲では、奏者達がドイツ語で、「アイン! ツヴァイ! ドライ!」と数字を数えますが、その数え方までもシュトックハウゼンが細かく指導しているのがわかります。更に、ヘリコプター四重奏曲は、飛ぶ夢を多く見るというシュトックハウゼンの夢想から生まれたものですが、最初に構想が浮かんだ直後は、「きちがいだと思われるのではないか」とシュトックハウゼン本人も考えたそうで、身近な人にも構想を語らなかったということがインタビューでもわかります。

音符が交錯するため、赤(ファーストヴァイオリン)、青(セカンドヴァイオリン)、緑(ヴィオラ)、オレンジ(チェロ)という4つの色で楽譜が書かれた「ヘリコプター弦楽四重奏曲」という特異な楽曲と現代音楽、そしてシュトックハウゼンを知る上で興味深い映像です。

シュトックハウゼン  カールハインツ (1928-2007)/Helicopter Quartet: Arditti Q

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2008年6月22日 (日)

『蟹工船』と『戦艦ポチョムキン』

プロレタリア文学の最高峰であり、最近再び注目を浴びている小林多喜二の『蟹工船』。カムチャッカ(作品中ではカムサツカ)沖で蟹漁を行うオンボロ工場船における労働者の悲惨としかいいようのない待遇と、上官(特に浅川監督)の人を人とも思わない非人間性を渾身の筆で描き抜いた作品です。

小林多喜二 『「蟹工船」「一九二八・三・一五」』(岩波文庫) 蟹工船には即戦力になるよう、農村から学のある真面目な若者を労働者として雇っていましたが、若者は学があるために「ストライキ」なるものを漁夫に教え、広め、船員達はストライキを敢行。一応の成功を見ます。しかし……。

岩波文庫に併録されている「一九二八・三・一五」では、共産主義のために活動している個々や団体に焦点を当てて書いた小林多喜二ですが、「蟹工船」は、それとは真逆の群衆劇であり、労働者側の個々の個性がなるべく目立たないように工夫されています。

附記という形で語られるストライキの顛末が楽天的に過ぎるのではないかという弱点はありますが、執筆当時25歳だった小林多喜二としては会心の出来だったと思われます。資本家のみならず、帝国主義の軍隊、全体主義の大日本帝国の国策、更には「献上品」の蟹という形で出てくるトップへの批判など、相当の勇気を持って書かれた作品であり、視野の広さという点において、私小説的なものから抜け出せなかったそれまでのプロレタリア文学から一歩進んだ小説であるといっていいでしょう。

『蟹工船』とよく似た設定を持った映画として多くの人が思い浮かべるのが、世界映画史上屈指の名作として知られる『戦艦ポチョムキン』。実際にあった事件を基にして作られた映画であり、監督は「モンタージュ理論」の完成者として知られるセルゲイ・エイゼンシュタイン。1925年のサイレント作品ですが、本国であるソビエトでも検閲に次ぐ検閲で満足の上映されないという状態でした。日本で上映されたのは第二次大戦が終わってから。ということで、設定は似ていますが、小林多喜二が『蟹工船』のモデルとしたという事実はありません。

DVD『戦艦ポチョムキン』 しかしエイゼンシュタインもソ連のプロレタリア芸術協会の会員であり、世界中で資本階級と労働者階級の軋轢が露見しつつある時代であったということもあり、『蟹工船』と『戦艦ポチョムキン』のシンクロニシティは必然として起こったと見ることも出来ます。

『戦艦ポチョムキン』は、1905年に起こった「ポチョムキンの反乱」を題材として撮られた映画であり、ウジのわいた肉を食べさせられるなどした水兵達が不満を爆発させ、ストライキを決行。上官達は水兵達を抑えつけようとし、銃殺までしようとしますが、最後は水兵側が勝利。
映画のラストでも水兵の勝利が描かれていますが、これは史実ではなく、実際は、反乱を起こした水兵達は死罪に処せられました。

IVCから出ている「戦艦ポチョムキン」のDVDには、なつかしの淀川長治による解説が収められています。

小林多喜二 『蟹工船 一九二八・三・一五』(岩波文庫) 紀伊國屋書店BookWeb

Antonov / Eizenstein/戦艦ポチョムキン Bronenosets Potyomkin

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2008年6月 9日 (月)

韓国ドラマ「怒った顔で振り返れ」DVDボックス

韓国ドラマ「怒った顔で振り返れ」のDVDボックスを紹介します。全16話を収録。DVD6枚組。日本語字幕スーパー付き。

「怒った顔で振り返れ」は、韓国KBSで2000年に放送された連続ドラマ。この春に日本でもDVDボックスが発売されました。

韓国ドラマ「怒った顔で振り返れ」DVDボックス

主演はチュ・ジンモ、イ・ミヌ。出演は、パク・ジニ、ペ・ドゥナ、イ・ウンジュほか。

中学時代から喧嘩に強いだけが自慢のイ・ドンフン(チュ・ジンモ)は、結局、暴力団・白頭会の組員となる。一方、子供の頃から成績優秀だった弟のドンジン(イ・ミヌ)は、家計を助けるために大学を中退して刑事になった。

白頭会で頭角を現していくドンフンと、捜査二課(暴力団対策課)に入り、ドンフンを追い詰めていくことになるドンジン。

ある日、ドンフンは恋に落ちる。相手はレストランのウェイトレスのアルバイトをしていた大学生のシン・ジョンヒ(パク・ジニ)。しかし、ジョンヒの父親で建設会社の社長であるシンは、実は白頭会と抗争を繰り返している暴力団・金星会を陰で操る存在でもあった。

人気が急上昇している韓国人俳優、チュ・ジンモの出世作。「リンダ リンダ リンダ」に主演するなど、日本でもおなじみのペ・ドゥナ(ドンフンとドンジンの奔放な妹役)、2005年に亡くなったイ・ウンジュ(ドンジンの高校時代のガールフレンドであるが、大学受験に失敗し、借金も背負ってホステスとして働いている薄幸な女性役)も出演。

初めのうちは、日本のドラマとの作り方の違いが気になりますが、馴れればはまります。家族愛、暴力団および暴力団系企業同士の抗争、薄幸の女性達の生き方など見所も多く、お薦め。

イギサ(亡くなってからもイ・ウンジュを愛し続ける人達)は必見のドラマです。

ドラマ/怒った顔で振り返れ(Box)

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2008年5月31日 (土)

柴田淳 DVD「しば漬け3」

シングル「ふたり」に続き、「しばじゅん」こと柴田淳のミュージックビデオとショートフィルム「HIROMI」を収めたDVD「しば漬け3」(ビクター・エンタテインメント)も紹介します。

柴田淳 DVD「しば漬け3」 収録されているのは、「花吹雪」、「紅蓮の月」、「HIROMI」、「カラフル」、「ふたり」のミュージックビデオ本編とメイキング映像、ショートフィルム(ショートムービー)「HIROMI」(和田聰宏主演。柴田淳も出演)のフルバージョン。

「しば漬け3」とあることからもわかるとおり、柴田淳のミュージックビデオを収めたDVD「しば漬け」の第3弾。「しば漬け3」はビクター・エンタテインメントから出ましたが、「しば漬け」と「しば漬け2」はドリーミュージックから出ています。柴田淳のミュージックビデオはCD「しば裏」(ドリーミュージック)の初回限定盤に入っているDVDでも観ることが出来ます。

確認しましたが、「しば裏」の初回限定盤は、2008年5月31日現在でも入手可能なようです。

柴田淳/しば漬け 3

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2008年5月23日 (金)

たぎる血の惨劇 森山未來主演 「血の婚礼」

2007年5月に東京・新大久保の東京グローブ座で上演されたアトリエ・ダンカン・プロデュース「血の婚礼」を収録したDVDを紹介します。TBSの制作、ポニー・キャニオンの販売。

「血の婚礼」は、フランコ独裁政権下で殺害された、スペインを代表する詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカが書いた戯曲。韻文が多用されていたり、月の成りをした人物が登場するなど、そのままでは、少なくとも現代の日本で上演することは難しい作品です。

森山未來主演 「血の婚礼」DVD

台本と演出を手掛けた白井晃は、多くのセリフをカットし、ダンスの場面を数多く取り入れています。「血の婚礼」の“血”には少なくとも3つの意味が掛けられていると思いますが、そうした血を表すには言葉よりもダンスの方が説得力があります。たぎる血は言葉よりも肉体により近しく、ダンスを生かした情熱と因縁と愛の迸りが見事です。
音楽は渡辺香津美を起用。渡辺は舞台上でギターを奏で、その熱い演奏も極めて効果的です。

原作:フェデリコ・ガルシア・ロルカ、台本・演出:白井晃、主演:森山未來、ソニン、出演:尾上紫(おのえ・ゆかり)、江波杏子、岡田浩暉、池谷のぶえ、陰山泰、浅見れいな、新納慎也、根岸季衣。

Original Cast/血の婚礼

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2008年5月 8日 (木)

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団 ウリヤーナ・ロパートキナ主演   チャイコフスキー バレエ「白鳥の湖」

2006年5月から6月にかけて、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で行われた公演を中心に収録された、チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」のDVDを紹介します。DECCAレーベル、イギリスのBBC、日本のNHKの共同制作。指揮はワレリー・ゲルギエフ、演奏はサンクトペテルブルク・マリインスキー劇場管弦楽団(旧称:キーロフ劇場管弦楽団)。オデット姫とオディールの二役をウリヤーナ・ロパートキナが舞い、ジークフリート王子をダニーラ・コルスンツェフが踊っています。
マリウス・プティパとレフ・イワーノフが1895年に完成させた振付を基に、コンスタンチン・セルゲーエフが1950年に振付改訂をしたマリインスキー劇場版を使用した公演。

サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場 DVD「白鳥の湖」 ゲルギエフ指揮

ロパートキナとコルスンツェフ、マリインスキー劇場バレエ団の華麗な舞いと幻想的な振付、セットの豪華さも見所ですが、ドラマティックな音楽をスコアから引き出したゲルギエフの指揮が見物、聴き物。第1幕冒頭では、空中にある見えない鍵盤を奏でるかのように指をヒラヒラさせながら指揮をするゲルギエフの独特の指揮姿も見ることが出来ます。

個人的には「白鳥の湖」の全曲盤は聴き通すのに骨が折れるので、DVDを観た方が音楽も楽しめます。ゲルギエフ盤DVDはBBCとNHKの協力による映像も美しく、「白鳥の湖」のDVDとしてはトップランクです。

バレエ&ダンス/Swan Lake(Tchaikovsky): Lopatkina Korsuntsev Gergiev / Kirov Opera (輸入盤)

バレエ&ダンス/Swan Lake(Tchaikovsky): Lopatkina Korsuntsev Gergiev / Kirov Opera (国内盤)

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2008年4月21日 (月)

DVD「夕凪の街 桜の国」

日本映画「夕凪の街 桜の国」のDVDを紹介します。こうの史代のマンガを佐々部清の監督により映画化。主演:田中麗奈、麻生久美子。出演は、堺正章、中越典子、金井勇太、吉沢悠、伊崎充則、粟田麗、藤村志保ほか。

映画「夕凪の街 桜の国」DVDジャケット

広島の原爆をテーマとした作品でありながら、原爆を直接描くことなく、それでいて原爆の悲惨さをリアルに伝えるという異色作。

映像も音楽も美しく、それゆえに原爆の悲劇がよりクッキリと浮かび上がります。テーマは重いものの、描かれるのは日常であり、いかにも戦争映画といった雰囲気はありません。しかしそうであるがために、半世紀以上前と現在との繋がりが深く感じられるということでもあります。

1958年が舞台の「夕凪の街」編と、2007年が舞台の「桜の国」が緩やかに繋がる構成。原作マンガの芸術性が高いため、脚本と演出にかなり手こずった形跡が見られますが、映画としても高い水準は得られています。

陰と陽、内向きと外向きという正反対のキャラクターと役作りを見せる主演二人の演技の対比も見所の一つです。

Movie/夕凪の街 桜の国

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2008年4月16日 (水)

ネオ・クロサワの名を全世界に轟かせた衝撃のサイコ・サスペンス 「CURE」

ネオ・クロサワこと黒沢清監督の名を全世界に轟かせたサイコ・サスペンス映画「CURE」のDVDを紹介します。
脚本&演出:黒沢清。主演:役所広司、萩原聖人。出演は、洞口依子、うじきつよし、中川安奈、大杉漣ほか。

黒沢清監督作品「CURE」 DVDジャケット

東京23区内を中心とした南関東地方各地で奇妙な連続殺人事件が起こる。死体はいずれも頸部を「X」の形に切り裂かれているのだが、逮捕された容疑者は複数で、互いに面識がなく、なぜ頸部を「X」型に切り裂いたのかを訊いても明確な答えが得られない。

警視庁の高部(役所広司)は、ドラマや映画、小説の影響の線を当たってみるが、それもないという。
捜査を続けるうちに、容疑者達と関連のある一人の男が浮かび上がる。男の名は間宮邦彦(萩原聖人)。数年前まで医科大学で精神医学を学んでいた青年である。記憶に障害を持つ間宮に殺人教唆の疑いがかかる……。

これまでに何度も何度も繰り返し観た映画ですが、最初に観たときの衝撃はさすがに弱まるものの、人間であることの悲しさや人間存在そのものの危うさと不気味さへの認識はむしろ高まっています。
そして何といっても萩原聖人が演じた間宮邦彦という男の存在。脚本や演出も巧みですが、間宮という、おそらく俳優なら誰でも演じてみたくなるような魅力的な悪役の造形に成功したことが、この映画の面白さを倍加させているのは間違いのないところでしょう。

Movie/Cure: キュア

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2007年12月28日 (金)

祝ご結婚 麻生久美子主演「SF Short Films」

本日、ご結婚を発表された麻生久美子さん主演映画のDVDを紹介します。
中野裕之監督のSFシリーズ第3作「SF Short Films」。タイトル通り、ショートフィルムの連作で、麻生久美子は全6作品中3作品に主演しています。

「SF Short Films」

「Return」(中野裕之監督作品、出演:麻生久美子、田中要次、村上淳ほか)、「県道スター」(ピエール瀧監督作品、出演:ゲッツ板谷、安藤政信ほか)、「ハナとオジサン」(芹澤康久監督作品、出演:ピエール瀧、hanaeほか、「アダージェット」(安藤政信監督作品、出演:麻生久美子)、「仲良き事は良きことかな」(中野裕之監督作品、出演:大竹まこと、斎木しげる、きたろう、犬山犬子ほか)、「Slow is Beautiful」(中野裕之監督作品、出演:麻生久美子、桃生亜希子ほか)の6本のショートフィルムを収録。

ショートフィルムだけに傑出して面白いという作品はありませんが、普段とは別の角度から見た日常を上手く切り取って見せています。

40本以上の映画に出演しているという売れっ子映画女優の麻生久美子ですが、「SF Short Films」の立川空子(たちかわ・くうこ)が彼女の地に一番近い役だと思われます。

麻生久美子の実家の付近でもロケが行われており(感心するくらい田舎です)、また「Return」には麻生久美子の実のお母さんが、「Slow is Beautiful」には麻生久美子の実のお祖母さんが出演されています。

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祝ご結婚 松たか子 DVD「MATSU TAKAKO concert tour 2007 “I cherish You” on film」

本日、ご結婚を発表された松たか子さんのDVDを紹介します。今年行われたコンサートツアー「I cherish You」より、6月26日、東京の中野サンプラザホールで行われたライブを収録したものです。

松たか子 「I cherish You」DVD

松たか子は、やはり歌手としてよりも女優としての方が魅力がありますが、音楽も彼女にしか出来ない表現をしていることは事実であり、また表現の仕方が堂に入っています。

アルバム「I cherish You」に入っている楽曲と、松がこれまでに発表したシングル曲のメドレーを中心とした構成。特典としてバックステージの映像なども収録されています。

松たか子/Concert Tour 2007: I Cherish You: On Film

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2007年11月15日 (木)

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE」秋コレクション

矢口史靖監督と鈴木卓爾監督が作ったショートフィルム集「ONE PIECE」の秋コレクションを紹介します。

以前に、春コレクションを紹介しましたが、秋コレクションもやはり全て家庭用ビデオカメラを用いた、ワンカット、編集なし、アフレコなしのショートフィルム集。

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE」秋コレクション

出演は、自主制作映画の帝王、BOBAさんこと田中要次、自主制作映画の女王こと唯野未歩子(ただの・みあこ。ジャケットの女性が彼女です)ほか。

大地震後の部屋を描いた「二人ぽっちの惑星」(矢口史靖監督)、おそろしくシュールな「傘男」(鈴木卓爾監督)、これまた怖い「暗室」(矢口史靖監督)、女性の嫉妬心を描き、恐ろしい結末を迎える(?)「祝辞」(矢口史靖監督)、これまた別の意味で恐ろしい結末を迎える「社長の首」(鈴木卓爾監督)、河原で集団ダンスの練習をする中学教師の姿をコミカルかつシリアスに描いた「サウンドオブ中学教師」(鈴木卓爾監督)、のちに深津絵里主演のテレビドラマとしてリメイクされることになる「猫田さん」(矢口史靖監督)など、全14作品が収められています。

特典として、唯野未歩子が踊るエンディング映像と鈴木卓爾監督の短編映画「おっけっ毛ビビロボス」(出演:西田尚美、西牟田恵、猫田直、上野純子、阿部サダヲ、田中要次ほか)がついています。

軽い感じで撮られたものが多いので、観て、「あー、面白かった」と思う作品は少ないのですが、恋愛ものである「猫田さん」(主演の相川直はこの作品に出演したのをきっかけに猫田直に改名した)などはなかなかです。

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2007年10月 8日 (月)

ベルク 歌劇「ヴォツェック」(オペラ映画版) ブルーノ・マデルナ指揮

新ウィーン学派を代表する作曲家アルバン・ベルク(1885-1935)の傑作歌劇「ヴォツェック」。20世紀に生まれた最高のオペラと呼ばれながら、現在のところ手に入るDVDは2種類のみ。最近になってDVD化されたバレンボイム盤はパトリス・シェローの斬新な演出が特徴ですが、同時に抽象的でもあり、「ヴォツェック」という作品をよく知らない人には内容がわかりにくいため、もう1つの入手しやすいDVD、1970年に制作されたオペラ映画版を紹介しておきます。現代音楽の作曲家・指揮者として活躍したブルーノ・マデルナ(1920-1973)の指揮、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団、ハンブルク州立歌劇場合唱団の演奏。ヴォツェックを歌うのはトニ・ブランケンハイム。
バレンボイム盤でヴォツェックを歌うことになるフランツ・グルンドヘーバーも徒弟職人役で出演しています。
ヨアヒム・ヘス監督作品。ほぼ全編ロケによる撮影が行われています。ドリームライフからの発売。ジャケットはモノクロームですが、カラー映画です。

アルバン・ベルク 歌劇「ヴォツェック」映画版 ブルーノ・マデルナ指揮 トニ・ブランケンハイム(ヴォツェック役)

歌劇「ヴォツェック」は、わずか23歳で病死した劇作家・小説家・自然科学者のゲオルク・ビューヒナー(1813-1837)の未完の戯曲「ヴォイツェック」を、カール・エミール・フランツフォースが編纂したテキストにベルクが作曲した作品。ベルクに渡されたテキストには「Woyzeck」であるべきところが「Wozzeck」と誤植されていたため、ベルクはヴォツェックだと思いこんで作曲。完成後、「ヴォイツェック」が正しかったと知ったベルクですが、完成したオペラは戯曲とは別物であると判断、そのまま「ヴォツェック」という題で発表しました。

初演は1925年12月14日、ベルリン国立歌劇場にてエーリヒ・クライバーの指揮にて行われ、20世紀に初演されたオペラとしては最初の成功作との評判を得ています。

現代音楽のスペシャリストとして知られたブルーノ・マデルナの指揮だけに演奏は緻密。ヴォツェックの不安な心理と、病んだ世界を巧みに表します。
トニ・ブランケンハイムのフランツ・ヴォツェックは、ここまでしょぼくれる必要はないんじゃないかと思える表情と演技をしますが、心を病んだ男を演じ、歌うには適任であるとも言えます。

〈あらすじ〉
貧しい兵士のフランツ・ヴォツェックは、嫌みな上司の髭を剃ったり、ファナティックな医師の人体実験に協力するなどして小銭を稼いでいる。人体実験の影響なのか、死と終末感に満ちた幻覚を見るようになるヴォツェック。
ヴォツェックの心の支えは妻であるマリー。しかしそのマリーはある日、たくましい肉体を持つ軍楽隊鼓手長に惚れて一度きりだが浮気をしてしまう。
マリーと鼓手長の関係を知ったヴォツェックの精神状態は更に悪化していくのだった……。

ベルク/Wozzeck: Maderna / Hamburg Po Blankenheim Haage Cassily Jurinac Sotin

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2007年10月 5日 (金)

『帰ってきた時効警察』DVDボックスをよろしくお願いします

オダギリジョー、麻生久美子の主演で話題になった金曜ナイトドラマ『時警察』が帰ってきた『帰ってきた時警察』。その『帰ってきた時警察』のDVDボックスが発売になりました。DVD5枚組。

『帰ってきた時効警察』DVDボックス

総武警察署時効管理課の霧山修一朗(オダギリジョー)が、同じく総武警察署交通課の三日月しずか(麻生久美子)とともに時効になった事件を趣味で捜査するという、スリルもサスペンスもないコメディー推理ドラマ。

「ドラマをバラエティにしてしまおう」という発想から、バラエティーの構成作家出身でシティボーイズのライブの台本作家や映画監督としても活躍している三木聡を中心に、演劇界のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)、前衛映像作家の園子温(その・しおん)、ホラー映画を手掛けている麻生学らが脚本と監督として参加。更には第1シリーズから助監督をずっと務めていた安見悟朗が第7話を監督。更に更にオダギリジョー自身が第8話で脚本と監督に挑戦するなど、新しいドラマを作ろうという意欲に溢れた作品が並んでいます。

基本的にお馬鹿な話が多いのに、極めて凝った作り。浅野和之、高泉淳子、大森南朋らが、彼らでなくてもいいようなチョイ役で出演するというのも贅沢であり、ある意味、高等遊民的な味わいのあるドラマでもあります。

映像特典として、第1話のオーディオコメンタリー(オダギリジョー、麻生久美子、三木聡)、第8話のコメンタリー(麻生久美子、オダギリジョーに似た声で話す犬の「黒」)、東京・渋谷のCLUB QUATTROで行われたKERAのライブに麻生久美子がシークレットゲストとして参加し、「たべもの」、「しゃくなげの花」、「月見そばのうた」を歌った時の映像、オダギリジョーと麻生久美子による各話解説対談、クランクアップ映像(時効管理課メンバー全員で、涙もろい麻生久美子を泣かせよう作戦を決行)を収録。

更には番組宣伝用に作られた「総武警察署時効管理課 残業中」(ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕が脚本を手掛けるなど、番宣とは思えないほど凝った作りであり、ドラマ同様不必要に豪華である)なども収録されており、これでもかこれでもかの豪華な特典満載のDVDです。

帰ってきた時効警察

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2007年7月 4日 (水)

怖くて切ないサイコサスペンス 映画『ハサミ男』

映像化は不可能と言われた、殊能将之の小説『ハサミ男』に池田敏春監督が挑み、見事、映像化に成功した、映画『ハサミ男』のDVDを紹介します。2004年制作、2005年2月劇場公開。

主演:豊川悦司、麻生久美子。出演は他に、阿部寛、斎藤歩、樋口浩二、阪田瑞穂、石丸謙二郎、小野みゆき、広岡由里子、柄本祐、寺田農ほか。

池田敏春監督 豊川悦司&麻生久美子主演 映画『ハサミ男』

埼玉と東京都江戸川区で女子高生が絞殺され、首にハサミを突き刺された格好で遺体が発見される。マスコミは犯人を「ハサミ男」と名付け、センセーショナルに取り上げた。
そんな中、東京都目黒区鷹番で第3の事件が起こる。しかし、それが「ハサミ男」の犯行ではないと気付いた男(豊川悦司)と女(麻生久美子)は第3の事件の真犯人を探る…

池田敏春監督が原作を読んでから映画を完成させるまで5年を費やしたというだけあって、非常に緻密な仕上がりの映画になっています。映画が始まってしばらくの間は、頭に引っかかるところがいくつも出てきますが、その理由について一つ一つ考えながら映画を観ると、より楽しめると思います。

また出来れば繰り返し観て下さい。同じセリフと仕草が、最初に観たときとは別の意味を持って伝わって来て、構築の見事さに気付くはずです。

殊能将之の原作では希薄だった人間ドラマにも重点が置かれており、人間の怖さと同時に切なさも追求されていて、池田監督の力に舌を巻きます。

豊川悦司のギラギラとした妖しさが魅力的。
また、この映画で女優魂を感じさせる演技を見せる麻生久美子は、同時に非常にエロティック、それも陰性のエロティシズムを発揮しており、女優としての能力の高さに魅せられます。

音楽担当は、映画『マルサの女』や、『ニュースステーション』のテーマ音楽の作曲で知られる、作曲家兼サキソフォン奏者の本田俊之。この映画では、池田監督の要望により、ラッシュフィルムを観ながら即興でサキソフォンを吹いて音楽を付けていくという、ルイ・マル監督が『死刑台のエレベーター』でマイルス・デイヴィスを起用して行ったのと同じ手法が採られており、即興的な味わいのある奥深いサキソフォン演奏を楽しむことが出来ます。

Movie/ハサミ男

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2007年6月25日 (月)

ポップな香港映画の嚆矢 『恋する惑星』

王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の『恋する惑星』を紹介します。1994年制作、1995年日本公開。私はロードショー時に、東京の銀座テアトル西友(現:銀座テアトルシネマ)に通って何度も観ています。

『恋する惑星』DVDジャケット

上がDVDジャケット。現在、DVDで出ているものは王家衛監督が編集し直した香港版でこれが最終決定版です。ただ日本でロードショーされた時はDVDに収録されたものより8分ほど長いインターナショナルバージョンでした。

下にあるのが銀座テアトル西友で買った、映画のパンフレットです。

映画『恋する惑星』パンフレット表紙はDVDジャケットと全く同じ写真が使われているので、裏表紙をスキャンしてみました。
映画パンフレットというと大して内容のないものも多いのですが、『恋する惑星』のパンフレットは、日本語版シナリオも収録されており、読み応え十分です。

王家衛監督が注目を集めたのは、レスリー・チャンらが出演した『欲望の翼』(1990年制作)ですが、世界的な評価を勝ち得たのが本作品『恋する惑星』。原題は『重慶森林』。重慶とは中国の重慶市ではなく、香港にある重慶大廈(チョンキンマンション)のこと。映画にも出てきますが、インド系移民が多く住んでおり、一種の無法地帯と化している香港で最も危険な場所の一つです。この映画は重慶マンション一帯を舞台にしていますが、当然ながら撮影許可は下りなかったため、ほぼ全編無許可のゲリラ撮影が敢行されました。

また『重慶森林』は村上春樹の小説『ノルウェイの森』に影響されたタイトルでもあります。1990年代、香港では村上春樹の小説がブームとなり、村上春樹の小説の登場人物のような話し方をする若者が増えたこともありました(村上春樹の小説のファンや村上春樹に影響を受けた若者はハルキ族と呼ばれた。王家衛監督も自他共に認めるハルキ族の一人である)。この映画でも、金城武やトニー・レオンが思いっきり村上春樹風のモノローグを語っています。

出演:金城武、ブリジット・リン、フェイ・ウォン、トニー・レオンほか。撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)ほか。

一瞬の恋を描いた前編と、奇妙な女と鈍い男を描いた後編から成る連作。「恋愛映画」の既成概念を覆す斬新な一本です。

Movie/恋する惑星(Rmt)

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2007年6月22日 (金)

矢口史靖×鈴木卓爾 「ONE PIECE」春コレクション

東京造形大学の同期生である矢口史靖(やぐち・しのぶ)監督と鈴木卓爾監督が手がけたショートフィルム集、「ONE PIECE」春コレクションのDVDを紹介します。

家庭用ビデオカメラを使った、ワンカット、長回しを基本とし、アフレコも編集もなしという超低予算短編映画