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2006年1月18日 (水)

大阪に行こう

1月18日、「ひと・まち交流館 京都」でミーティング。

しかし私(本保)は以前に永尾さんから来たメールの「午前」と「午後」を読み間違えており、午前10時頃、永尾さんからのメールが来て初めてそのことに気づくという大失態。

すぐに出かける。40分後に「ひと・まち」に着く。『生まれ変わるとしたら』の反省会も兼ねていたのだが、私の一番の反省は、「今日遅刻したこと」になってしまった。

「午前からミーティングはないだろう」という思い込みが生んだ事態。思い込みというのは本当におそろしいものだ。

永尾さんから、「一人芝居というジャンルを誤解している人がいるのでは」という意見が出たので、それについて、一人芝居が日本では盛んではないことを述べた。

一人芝居が隆盛なのはアメリカで、特にハイレベルとされる大学では学生が自作自演の一人芝居をよく演じている。メッセージを伝えるのには一人芝居が一番という考えがあるからだろう。

困ったことに、某H氏の、「主題がはっきりしている芝居はよくない」という考えが日本では広まりつつあるので(先日、NHKの「芸術劇場」という番組内で長塚圭史がインタビューで述べていたことは、H氏への反発もあるように聞こえたのだが、本当のところはどうなのだろう)、それは危惧すべきだろうと私は述べる。

それから、某所で私自身が『生まれ変わるとしたら』を演じて、その場にいた人が、本当に書かれていることは何かをよく理解してくれていたということを述べる。演劇に特に強くはない人である。なのに、演劇をしていながら、その場で何が行われていたのか理解しない人がいるのはどういうことなのか、ということになる。
畢竟、それは演劇教育、ひいては日本の教育に問題があるのではないか、ということになる。

演劇にしろ、映画にしろ、読み込むことに本当の面白さがあるのだが、現状では受け身でもわかるものがよしとされている。これはどうなのだろうか。読み込んでも内容が空っぽな演劇もあるので、観客が想像力を使わなくなったことは演劇の作り手側に問題があるのだろう。それは当然だが、観客の視界が狭くなりつつあることを私は深刻に受け止めている。

H氏とは別の理由で、「国語教育の失敗」を感じてしまうのである。目を養えていないのではないかと。

多様性の受容、それは小説を読む上でも、映画を観る上でも、音楽を聴く上でも重要である。「わたしは赤川次郎の小説しか読みません」という人がいるとして(実際にいるようですが)、それはそれで別に構わないのだが、それ以外の小説を受け付けない、という姿勢が「コレクト」なものになってしまうと、事態は深刻になる。「良きものを自分で見つける」という自主性がそれではなくなってしまうだろう。

京都の演劇には拡がりがない。これは多くの人が感じていることだと思う。もちろん、それぞれの劇団に個性はある。しかし、大阪や東京に比べると個性がばらけていないのである。

「全ては許されている」。もちろん言葉通りに受け取ることはしない方がいいが、表現というものを問い直すことは表現者として当然である。だが、京都にいると、「コレクト」のプレッシャーの大きさを感じる。「よきもの(良きもの)、(善きもの)」があたかも固定されているような印象を受ける。

「先に書いた自分の作品を恨み、次の作品を書く」。これは私が愛する小説家の一人、村上春樹の小説執筆の信条だが、私は共感する。私自身が明大でも造形大でもそうやって研究や創作を続けて来た、というより来ざるを得なかったからだ。「これで駄目なら更に上。あるいは視点を変える」。そうしないと上には行けないはずなのだ。

そしてそのためには多様なものに触れることが重要だ。自分のいる位置を確認するためには、視座のようなものが必要である。座標軸のようなものもいる。

「大阪に行こう」というのは、今回のミーティング中に私が発した言葉だが、これは鴨川左岸が本拠地を大阪に移すということではない。大阪(に限らず地元以外の場所)で沢山の芝居に触れよう、ということだ。不入り伝説があるため、東京のカンパニーは京都にはなかなか来ない。なら大阪へ。そこには地元・大阪のカンパニーもあるし、東京からも、地方からも劇団が押し寄せてくる。西宮にも新しい劇場(兵庫県立芸術文化センター)が出来て、面白い公演がこれからも打たれるはずだ。滋賀・大津のびわ湖ホールでもいい公演が行われている。

「交通費を払って、それで面白くなかったら損する」。という意見もわからなくはない。しかし関東では「東京まで行って芝居を観たが面白くなかった」、それを損と捉える人が少ないということも念頭に置いておいた方がいいだろう。何故、関東の人間はそれを損と考えないのか、考えてみるのも悪くない。

私は関東の人間であるが、京都という街を愛している。東京よりもずっと愛している。その京都が安易に東京の軍門に降ることは面白くないのである。

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