ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 ドヴォルザーク交響曲第8番(EMI盤)
1970年4月収録。その年の7月に亡くなったジョージ・セルが残した最後の録音の一つである。
20世紀に活躍した最高の指揮者の一人、ジョージ・セルはアメリカ・オハイオ州の中規模都市クリーヴランドのオーケストラを世界最高水準のアンサンブルにまで育て上げた。完璧主義者ゆえに時に「冷たい」といわれたセルの演奏であるが、この最晩年の演奏は温かな音色をオーケストラから引き出しつつ、驚異的なアンサンブルの精度と力強さを前面に出した「世紀の名演」と呼ぶに相応しい出来を示している。
ジョージ・セルという人は音楽以外には全く興味を示さない人だったようで、セルの愛車の走行距離メーターを調べたところ、クリーヴランド管弦楽団の本拠地であるセヴェランス・ホールとセルの自宅までの往復距離に一致した、つまり自宅とホールを往復するだけの生活を送っていた、という伝説を持つ。この伝説が本当か嘘かはわからないが、音楽に没頭したまま生涯を終えたジョージ・セルという男の人柄が偲ばれるエピソードである。
ドヴォルザーク/Sym.8: Szell / Cleveland O (1970)+slavonic Dance.3 10
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