グレン・グールド 「モーツァルト ピアノ・ソナタ集」
カナダが生んだ20世紀最高の天才ピアニストの一人、グレン・グールドが残した「モーツァルト ピアノ・ソナタ集」(ソニー・クラシカル)を紹介します。
グールドはモーツァルトのピアノソナタ全集を完成させていますが、これはその中から有名曲を中心に6曲をセレクトしたCDで、国内盤の「ソニー・ベスト・クラシックス100」の中に収められています。
このCDの中で一番凄いのは、ピアノ・ソナタ第8番K.310。嵐のような冒頭から他のピアニストの演奏とはまるで違い、聴く者はグールドとモーツァルトの疾駆する情熱に巻き込まれてしまいます。
お馴染みのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」K.331も異色の名演。第3楽章の「トルコ行進曲」はトルコ軍の雄壮な進軍ではなく、おもちゃの兵隊の行進のように愛らしいもの。グールドの創造力に驚嘆させられます。
いわゆるオーソドックスな演奏ではありませんが、グールドという鬼才がモーツァルトという天才の「不可視であった部分」に光を当て、解読に成功した希有な演奏として座右に置いておきたいCDです。
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