パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団の「シベリウス交響曲全集」
現代最高のシベリウス解釈者として名高いフィンランドの指揮者パーヴォ・ベルグルンド(1929- )が、1980年代にヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団と録音した「シベリウス交響曲全集」を紹介します。毎年、クリスマスの時期に合わせて発売されることから、「EMIクリスマス・バジェット・ボックス」と呼ばれる廉価盤シリーズに収められているものです。ベルグルンドは1970年代にイギリスのボーンマス交響楽団とシベリウスの交響曲全集と主要管弦楽曲を録音しており、このボックスには、そのボーンマス響とのシベリウス主要管弦楽曲の録音も収められています。輸入盤で、大型CDショップでないと店頭には置かれていないと思いますが、今はネットショップが充実しているので、手に入れること自体は難しくないと思います。CD8枚組で3800円前後です(ベルグルンド&ヘルシンキ・フィルの「シベリウス交響曲全集」は国内盤も出ていて、7600円ちょっとで売られています。値段は高めですが最新リマスタリング盤です。こちらはヘルシンキ・フィルとの演奏のみ。「クリスマス・バジェット・ボックス」には入っていない、ヘルシンキ・フィルとのクレルヴォ交響曲も収録)。
ベルグルンドは1990年代にヨーロッパ室内管弦楽団を指揮して3度目の「シベリウス交響曲全集」をワーナー傘下のフィンランディアというレーベルに録音しており、これも最近まで4枚組で3000円を切る廉価盤だったのですが、今は値上がりしたようで、5000円以上します。というわけで、まずはヘルシンキ・フィルとの全集をアップすることにしました。
ヘルシンキ・フィルは言うまでもなくフィンランドの首都ヘルシンキを本拠地とするオーケストラで、創設者はシベリウスと関係の深かったロベルト・カヤヌス。シベリウス本人もこのオーケストラを何度も指揮しています。ということで、シベリウス演奏の総本山と呼ばれたりもします。
ベルグルンド、ヘルシンキ・フィルともにシベリウスへの尊敬と共感を見事なまでに音に変えた全集で、清冽な響きと歌による交響曲第1番はおそらく全CDの中でも1、2を争う出来。適度なスケールといかにも北欧的な音色が印象的な交響曲第2番、旋律を瑞々しく歌い上げた交響曲第6番、地味ながら深い味わいを持つ交響曲第7番の演奏もトップクラス。他の曲の演奏も上位に入ります。全曲の平均レベルではこのベルグルンド&ヘルシンキ・フィル盤が、あらゆるシベリウス交響曲全集のCDの中でも1位だと思われます。
シベリウス/Sym.1-7 Kullervo Sym.tone Poems: Berglund / Helsinki.po Bournemouth.so
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