ジンマン指揮 スウィートビターなラフマニノフ交響曲第2番
デイヴィッド・ジンマンがボルチモア交響楽団の音楽監督を務めていた時代に録音したラフマニノフの交響曲第2番のCDを紹介します。
ジンマンは現在、スイスのチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のシェフとして高い評価を得ていますが、チューリッヒに来る前はアメリカのボルチモア交響楽団の音楽監督を10年以上の長きにわたって務めていました。当時のジンマンは、低迷していたボルチモア交響楽団の演奏能力を一気に高めたことでオーケストラビルダーとしての評価には高いものがありましたが、指揮者としての評価はさほどでもなく、良くて1流半、大抵は2流という扱いでした。しかしボルチモア時代のジンマンも決して凡庸な指揮者ではなかったことはいくつかのCDを聴けばわかります。
ラフマニノフの交響曲第2番のCDも、ボルチモア時代のジンマンの良さが刻まれたCDの一つです。TELARCレーベルの録音・発売。
ラフマニノフの交響曲第2番は、非常にロマンティックな旋律を持つことで知られ、現在では人気曲の一つですが、初演時(1908年)は余りに濃厚なロマンティシズムゆえに「ジャムでベトベトの交響曲」と称されるなど、評判は余り良くありませんでした。この曲の評価が高まるのは20世紀も後半に入ってからですが、甘すぎる旋律に抵抗を覚える人は今も少なくないようです。
ジンマンとボルチモア交響楽団の演奏は、適度な甘みを加えつつ、誠実で渋めのものです。甘さ控えめのためベタベタしたところがなく、かといってクール過ぎない。
「スウィートビター」という言葉がありますが、この演奏を一言で表すのにピッタリの言葉で、「ラフマニノフの交響曲第2番は濃すぎる」と感じている人、「ロマンティックな旋律に癒されたい」と思っている人、どちらにも薦められる好演です。
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