第九あれこれ 2006 その2 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
第九(ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」)のCDは数あれど、その中でも私が特に気に入っているのは、アメリカ生まれのスウェーデンの指揮者、ヘルベルト・ブロムシュテットがシュターツカペレ・ドレスデンを指揮した2枚のCDです。まず1枚目は、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮して完成した「ベートーヴェン交響曲全集」の1枚。1980年、ドレスデンのルカ教会でのアナログレコーディング。テノールを名歌手のペーター・シュライヤーが歌っています。
ブロムシュテットはシュターツカペレ・ドレスデンの美しい音色を生かし、端正な演奏を繰り広げます。しかし、それは決して大人しいものでも優等生的な堅苦しいものでもなく、時に力強く、時にあでやかであり、第九という曲の多面性を理想的に表現してみせた、スタンダードで且つブロムシュテットという指揮者の個性も生きた名演です。
もう1枚は、1985年、ドレスデン国立歌劇場(ゼンパーオーパー)の再建を祝うコンサートで演奏された第九のライブレコーディング。
デジタル録音ですが、ライブのため録音に制約があったのか、音の拡がりにやや乏しく、オーケストラも少し粗めですが、一方で演奏会、それもドレスデンの誇りである歌劇場再建を祝う演奏会を記録した録音ならではの高揚感を味わうことが出来ます。私が持っているCDはドイツのカプリッチョというレーベル傘下のレーザーライトという廉価レーベルのもので、今は手に入りませんが、同じ音源が、最近、別の会社から700円前後で発売されたので、そちらは入手可能です(ただし海外盤のみ)。
ブロムシュテットというと穏健派のイメージがありますが、いずれの第九を聴いても端正なだけではない、激しい情熱を秘めた指揮者であることがわかります。
ベートーヴェン:交響曲第9番ClassicalEvolution ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
| 固定リンク | 0
コメント