『御土居堀ものがたり』
豊臣秀吉により、京を囲う形で作られた惣構の土塁「御土居」。京都が城塞都市であった頃の名残である。江戸時代以降次第に破壊が進み、戦後、京都市街の拡大により数えるほどしか残っていない御土居堀の魅力に迫る一冊、『御土居堀ものがたり』(京都新聞出版センター)。
著者の中村武生氏は御土居堀の跡に建つ佛教大学の大学院生時代より御土居堀の研究を始め、現在では佛教大学や花園大学の非常勤講師を務めている。
なお、通常は「御土居」という名の方が通りが良いが、中村氏は御土居の外に堀があったことを重視、「御土居堀」という名を用いている。
惣構の説明に始まり、御土居堀の歴史と役割、現存する御土居堀とかって御土居堀のあった場所を地図を用いて説明するなど歴史に詳しい人にもそうでない人にもわかりやすい内容となっている。
「JR京都駅の1番線ホーム(現在は0番線ホームとなっている。日本一長いプラットホームである)は御土居を利用したもの」という話が実は俗説に過ぎないことを明かすなど、御土居堀の歴史を探るのに欠かせない一冊と言える。
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