生誕150年 エルガー 「エニグマ変奏曲」
今年はイギリスの作曲家エドワード・エルガーの生誕150周年でもあります。
バロック期のヘンリー・パーセルを最後に200年の長きに渡って世界的な作曲家を輩出できなかったイギリスは、ドイツから「作曲家のいない国」などと揶揄されたりしましたが、そのイギリスが久々に生んだ世界的作曲家がエドワード・エルガーでした。
エルガーは幼年期から音楽に興味を示しましたが、経済的事情もあって専門的な音楽教育を受けることはなく、作曲や演奏などは全て独学でした。ただ父親が楽器商だったため演奏する楽器調達に困らなかったのは幸運だったといえます。
独学の作曲家には多いことですが、エルガーも世に出る時期は遅く、「エニグマ変奏曲」の初演の大成功によりその名が英国全土に知られた時にはすでに42歳になっていました。しかしその圧倒的成功により晩年まで英国の英雄であり続けました。
今日はエルガーが世に出るきっかけとなり、代表作でもある「エニグマ変奏曲」のCDを紹介します。
イギリスの作曲家の作品だけに、本来なら英国の指揮者と楽団による演奏を紹介したいところですが、私が気に入っているのはニューヨーク生まれの指揮者デイヴィッド・ジンマンがワシントンD・Cの隣町であるボルチモアのオーケストラを指揮した演奏です。
ボルチモア交響楽団は歴史こそ長いものの、水準は今ひとつと言われ続けてきましたが、デイヴィッド・ジンマンの音楽監督就任により急成長、全米でもトップクラスのオーケストラに成長しました。保守的とされる街のオーケストラであるためか、落ち着いた音色を特徴としています。
「エニグマ変奏曲」ではその落ち着いた音色がプラスに作用し、ジンマンの巧みな指揮もあって英国のオーケストラ以上に英国的といっても過言ではないほどのノーブルな音楽を作っています。輸入盤しか出ていないのが残念ですが、今はインターネットが発達しているので手に入れるのは難しくないでしょう。
のちにチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団で爆発的な成功を収めるまでジンマンは二流の指揮者と見なされていましたが、その評価が不当であったことの証明ともなるCDです。
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