ミシェル・コルボ指揮 フォーレ「レクイエム」 2005年 東京ライブ盤
1934年、スイスに生まれた「合唱の神様」とも呼ばれる指揮者、ミシェル・コルボが指揮したフォーレの「レクイエム」のCDを紹介します。
コルボ指揮のフォーレの「レクイエム」というと1972年にベルン交響楽団とサン=ピエール=オ=リアン・ドゥ・ビュール聖歌隊を指揮したエラート盤が有名ですが、今日紹介するのは、2005年2月14日、コルボの71歳の誕生日に初台の東京オペラシティコンサートホール“タケミツ・メモリアル”で行われた演奏のライブ録音盤。avexクラシックス。
1972年盤で合唱を担当したサン=ピエール=オ=リアン・ドゥ・ビュール聖歌隊は、ミシェル・コルボの叔父であるアンドレ・コルボが指導していた少年コーラスを含む合唱団ですが、フォーレの「レクイエム」を録音する直前にアンドレ・コルボは死去してしまいます。こうした経緯もあり、アンドレ追悼盤となってしまった1972年盤は別格盤として扱った方が良いように思います。
2005年のライブ盤は、ミシェル・コルボが結成したローザンヌ器楽&声楽アンサンブルによる演奏。ローザンヌ声楽アンサンブルは、コルボが理想の合唱を追求して結成し鍛え上げてきただけに温もりと優しさに満ちた歌声を聴かせてくれます。1972年盤ではボーイソプラノのアラン・クレマンにソロを任せた「ピエ・イエス」を、2005年盤では女性ソプラノのシルヴィー・ヴェルメイユが担当しています。
天使の歌声を思わせるアラン・クレマンですが、やはり少年だけに不安定感は残り、ヴェルメイユの方が安定感や声の優しさは上です。1972年盤が天上から死者を迎えるために聞こえてくるような「レクイエム」だとすると、2005年盤はこれから天国に向かわんとする死者を送り出すためのミサ曲という趣があります。
フォーレ/Requiem: Corboz / Ensemble Vocal & Instrumental De Lausanne
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