甘い痛み
高校生の頃に愛聴したアルバムを今聴き直してみると意識がグラグラと揺れて心臓の襞が破れそうなほどの甘い痛みを感じることがある。
目の前に広大な世界が開けているのにそこに踏み込むことを許されなかった恨み。
失うとわかっているのにそれを強いられた怒り。
あの頃の喪失感を補って余りあるほど多くのものを手にした今でも奪われた「可能性」が心の奥で呪詛の声を上げる。
当時、私は余りにも多くのものを失ってしまったから、目的地もわかり、地図も手にしていながら、時に途方に暮れることになるのだ。
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