シベリウスの年に(4) サカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団 「シベリウス交響曲全集」
シベリウス交響曲全集3組目(昨年も含めると4組目)は、サカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団により2000年から2003年にかけて録音された比較的新しいものを紹介します。今はワーナー・クラシックスに吸収されてしまったエラートというフランスのレーベルが制作した全集で、エラートがシベリウスの交響曲全集を作るのはこれは初めてだったそうです。そしてエラート・レーベルの消滅により、エラート唯一のシベリウス交響曲全集となってしまいました。
サカリ・オラモは1965年生まれのフィンランドの俊英指揮者です。シベリウス・アカデミーで名教師のヨヌマ・パヌラに指揮法を学び、また同アカデミーでヴァイオリンを副専攻として練習に励んでいます(シベリウス・アカデミー指揮科では副専攻として他のオーケストラ楽器も学ぶようです)。フィンランド放送交響楽団のコンサートマスターとして活躍中のある日、予定されていた指揮者が病気で指揮台に立てなくなったため急遽指揮者としてデビューし、成功を収めています。その後、サー・サイモン・ラトルの後任としてバーミンガム市交響楽団の首席指揮者、音楽監督として活躍。バーミンガム市響との契約は今シーズン限りで満了となりますが、フィンランド放送交響楽団の首席指揮者、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督として北欧を拠点とした活躍が始まります。
オラモは現代音楽を得意としているためか、シベリウスを指揮する時も他の指揮者なら滑らかにしてしまう細部を鋭く演奏し、シベリウスが20世紀の作曲家であることを再確認させてくれます。特に交響曲第1番の快速テンポと勢いを重視した演奏にそれが現れています。
交響曲第1番、第2番、第6番、第7番が特に優れていますが、全7曲が全て高い水準で演奏されており、強くお薦めしたい名盤です。
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