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2007年4月18日 (水)

ジョージ・セルの彫刻するヒンヤリとしたモーツァルト

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏による、モーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」、交響曲第40番ト短調、第41番「ジュピター」を推薦します。

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 モーツァルト交響曲第35番「ハフナー」、交響曲第40番ト短調、交響曲第41番「ジュピター」 御覧のジャケットのものは、ソニー・クラシカル(旧・CBS)の廉価シリーズから1000円以下で出ているCDですが、演奏はヒンヤリとした音色と確固たる造形美を誇る個性溢れるもので、値段の数倍は聴く価値があります。

ユダヤ系ハンガリーの指揮者であるジョージ・セルは、アメリカ・オハイオ州の無名オーケストラだったクリーヴランド管弦楽団のシェフに就任するや、このオーケストラを自分の理想とする演奏団体に変えるため、徹底したトレーニングで鍛え上げ、全米屈指の名門と呼ばれるまでに育てました。

個々の奏者のテクニックやアンサンブルの精度(メカニック)にこだわるタイプの指揮者だったジョージ・セルは名人芸を誇る奏者を数多くクリーヴランド管弦楽団に入団させましたが、その結果、クリーヴランド管弦楽団の音色は「少し冷たい」と称されたりもしました。精度が余りに高いと楽器は冷たい音を出しやすくなります。

そうした冷たさを嫌う音楽ファンもいましたが、このモーツァルトではその冷たい音色が透明度の高さに繋がり、ある意味「至純」の天国的世界を現出させています。

その天国は優しさ溢れるのどかなものではありませんが、凛とした白亜の彫刻的な美しさがあります。

ヒンヤリとした響きは、耳の中を洗い清めるような清浄さがあり、モーツァルトを聴く喜びの一つをセルの指揮したこの演奏の中に見出すことが出来るでしょう。

モーツァルト/Sym.35 40 41: Szell / Cleveland.o

George Szell & Cleveland Orchestra

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