観劇公演パンフレット(15) 『オケピ!』(初演)
三谷幸喜が初めてミュージカルの脚本を手がけたことで話題になった『オケピ!』の初演時のパンフレットを紹介します。2000年6月に東京の青山劇場で購入したものです。
オペラやミュージカル上演時にオーケストラが入る場所、オーケストラピット(通称:オケピ)を舞台にしたバックステージ(もっとも、オケピはステージの裏ではなく手前下方にあるのが普通ですが)ミュージカル。
脚本・作詞・演出:三谷幸喜、作曲・音楽監督・指揮:服部隆之。
出演は、真田広之(コンダクター)、松たか子(ハープ)、戸田恵子(ヴァイオリン)、宮地雅子(チェロ)、白井晃(サックス)、小林隆(ヴィオラ)、川平慈英(ギター)、小日向文世(ピアノ)、伊原剛志(トランペット)、北川潤(ファゴット)、山本耕史(パーカッション)、菊池均也(ドラムス)、布施明(オーボエ)。
『オケピ!』は2003年に再演されており、その時は白井晃がコンダクターを、天海祐希がハープ奏者を演じるなど、出演者が変わっています。初演時に白井晃が演じたサックス奏者役は、再演時には相島一之が務めました。
青山劇場の天井桟敷で、3時間立ち見だったのですが、本物のオーケストラピットがよく見えました。そこで服部隆之が指揮をしていたのですが、ステージ上で指揮している真田広之の動きが服部隆之と完全に一致していることにゾッとしたものです。服部隆之が真田の指揮を見ながら指揮しているわけではなく、真田広之が指揮の技術、少なくとも本当の指揮者に見えるだけの技術を完全に身につけていたのでした。「真田広之って本当に凄いよなあ」と感心したのを憶えています。
三谷幸喜は当て書きでないと書けないというタイプの作家ですが、真面目な顔をした白井晃がいくつもの楽器を掛け持ちしたり、高麗屋のお嬢さんである松たか子が貧乏な家庭に生まれたハープ奏者を演じていたりと、当て書きゆえの可笑しさも出ていました。
再演時にサックス奏者を演じた相島一之に関しては、「ああ、相島さんならああいう無謀なこともやりそうだ」と思ってしまったり、やはり再演時にハープだった天海祐希に関しても、「天海祐希なら実家が貧乏だということもあり得る。だったら笑っちゃいけないんじゃないだろうか」ということで、当然といえば当然なのですが、人物設定だけで笑えるという水準には達していませんでした。
エキストラ(通称:トラ)で入ったパーカッション奏者を演じていた山本耕史は、これが三谷幸喜との初仕事であり、のちに大河ドラマ『新選組!』の土方歳三役に繋がっていきます。
当時、松たか子と山本耕史は噂になっていましたが、NHKが松たか子を子飼いの俳優にしようとしてフジテレビとの競争に敗れたのが丁度この頃。そして現在、NHKが子飼いの俳優として看板にまで育てようとしているのが山本耕史です。因縁を感じます。ちなみに山本耕史の出世作である『ひとつ屋根の下』を放送していたのはフジテレビで、松と山本は『ひとつ屋根の下2』でも共演しています。
パンフレットには、のちにドラマ『のだめカンタービレ』の音楽監修で注目を浴びることになる茂木大輔(NHK交響楽団首席オーボエ奏者)によるオーケストラ楽器別性格分析、三谷幸喜と服部隆之の対談、出演者へのQ&A、真田広之と松たか子と布施明と戸田恵子による座談会、楽曲「オケピ!」のヴォーカル&ピアノ譜などが載っています。
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