岩城宏之指揮メルボルン交響楽団 「夢の時~武満徹管弦楽曲集」
岩城宏之がメルボルン交響楽団を指揮して録音した「夢の時~武満徹管弦楽曲集」(RCA)を紹介します。1990年11月の収録。
国内盤は現在廃盤中ですが、同じ音源のものがオーストラリア国営放送のレーベルであるABCから出ています。
岩城宏之は1974年から1987年までメルボルン交響楽団の常任指揮者を務め、その後も同楽団の終身桂冠指揮者の地位にありました。
「夢の時」、「ノスタルジア」、「虹へ向かって、パルマ」(ギター独奏:佐藤紀雄、オーボエ・ダモーレ独奏:ジェフリー・クレリン)、ヴァイオリンとオーケストラのための「遠い呼び声の彼方へ!」、「鳥は星形の庭に降りる」の5曲を収録。
シドニー交響楽団とともにオーストラリアを代表する楽団であるメルボルン交響楽団。メンバーは白人中心ですが、岩城の長期間にわたる薫陶により、タケミツトーンの出し方を完璧に身につけています。音に潤いと奥行きがあり、「響き」を、先行するどの作曲家よりも重要視した武満徹の音楽の真髄に触れることが出来ます。
「ノスタルジア」と「遠い呼び声の彼方へ!」でヴァイオリンソロを務めているのはマイケル・ダウス。イギリスに生まれ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1ヴァイオリン奏者として活躍した後、メルボルン交響楽団のコンサートマスターに就任。その後、岩城宏之に引き抜かれてオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のコンサートマスターとなり、現在はOEKの首席客演コンサートマスターを務めています。ほれぼれするほどの美音の持ち主であり、磨き抜かれた音はこのCDでも抜群の効果を発揮しています。
武満の最大の理解者の一人であった岩城宏之により、外国のオーケストラを使って録音された当盤は、武満徹の音楽を知る上で、今後も最も重要な資料の一つであり続けるはずです。
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