没後100年 グリーグ ピアノ協奏曲イ短調 雄大なリヒテル盤
今年が没後100年にあたる、ノルウェーの国民的作曲家、エドヴァルド・グリーグ。
グリーグというと、小品の作曲に適性があり、大規模な作品は、ピアノ協奏曲イ短調、劇付随音楽「ペール・ギュント」など数えるほどしか残していません。
グリーグの数少ない大作の一つであるピアノ協奏曲イ短調ですが、この曲は古今のピアノ協奏曲の中で最も人気のある曲の一つで、コンサートのプログラムにも頻繁に載り、CDも数多く出ています。
北欧の作曲家というイメージから、グリーグのピアノ協奏曲の演奏はリリシズムを前面に出したものが多く、またその解釈にも説得力はあるのですが、今日はリリシズムよりも雄大なスケールが印象的な、スヴャトスラフ・リヒテルのピアノ、ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団の演奏を収めたCDを紹介します。EMIの録音・発売。
旧・ソ連のピアニストで、かっては国情から西側にはその存在しか知られず、「幻のピアニスト」とも呼ばれていたスヴャトスラフ・リヒテル。そのリヒテルが西側で確固たる名声を確立し、「20世紀最大のピアニスト」と賞賛されていた全盛期の録音です。グリーグのピアノ協奏曲イ短調におけるリヒテルのピアノは一つ一つの音をハッキリ弾いていくというスタイルで、打鍵も強く、それでいて音に透明感があります。
NHK交響楽団の名誉指揮者としてもおなじみだったロヴロ・フォン・マタチッチは、旧・ユーゴスラビアの出身。マタチッチもスケールの大きさには定評があり、本盤でのリヒテルとの共演は、さながら怪物同士の対決のような趣があります。
併録された、ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲も繊細な味わいには乏しいもののやはり圧倒的なスケールで迫り、これはこれで名演です。
グリーグ / シューマン/Piano Concerto: S.richter(P)matacic / Monte-carlo National Opera O
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