ルドルフ・ゼルキン ベートーヴェン三大ピアノ・ソナタ+「テレーゼ」ソナタ
ルドルフ・ゼルキンのピアノによるベートーヴェン三大ピアノ・ソナタ(ピアノ・ソナタ第14番「月光」、同第23番「熱情」、同第8番「悲愴」)とピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」を収めたCDを紹介します。ソニー・クラシカル。
20世紀を代表するピアニストで、ピーター・ゼルキン(ピーター・サーキン)の父親としても知られるルドルフ・ゼルキン(1903-1991)。
幼くしてピアニストとしての才能を認められ、12歳でデビューしたルドルフ・ゼルキンですが、他の多くの神童ピアニストとは異なり、レパートリーはドイツ・オーストリアものに集中していました。とにかく真面目で誠実なピアニストで、自分の個性よりも何よりも音楽に奉仕することを目標としてきたルドルフ・ゼルキン。
このCDにもそうしたルドルフ・ゼルキンの特徴がよく表れています。
楽譜通りに淡々と弾いているようでありながら、良く聴くと一つ一つの音に魂を込めるような丁寧な奏法であり、聴けば聴くほど独特の味わいが聴き手の耳に自然と染み込んでくるような、達人業を披露しています。
表現したいという欲望をぎりぎりのところで押さえ込み、音楽そのものを生かすという、大人の演奏ということも出来るでしょう。
ちなみに「テレーゼ」とは曲を献呈された女性の名前(テレーゼ・フォン・ブルンスヴィック)。「エリーゼのために」のエリーゼの正体とされるテレーゼさん(テレーゼ・フォン・ドロスティック。旧姓マルファッティ)とは同名ですが別の女性です。
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