「芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ 第2集」
主に日本人作曲家の作品を演奏するために2002年に結成されたアマチュア楽団、オーケストラ・ニッポニカのライブ録音CD、「芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカ 第2集」を紹介します。2003年2月23日、東京・四谷の紀尾井ホールにおける本名徹次指揮のライブを曲順もそのままに収録したもの。MITTENWALD(ミッテンヴァルト)レーベル。
早坂文雄の管弦楽曲「讃頌祝典之樂」、信時潔の交声曲「海道東征」、芥川也寸志の「『赤穂浪士』のテーマ」(アンコール曲)の3曲が収められています。
黒澤映画、「羅生門」や「七人の侍」の音楽を担当したことでも知られる早坂文雄。武満徹を始め、多くの作曲家に影響を与えたことでも知られますが、早坂本人の演奏会用作品は彼が41歳で早世したこともあって演奏されることも録音されることも稀です。
ここに収録された「讃頌祝典之樂」は、NHKが公募した「祝典用管弦楽曲」に入選した作品で、雄渾さと典雅さを併せ持つ作品。
「海ゆかば」の作者として知られる信時潔の「海道東征」は、神武天皇東征神話を題材とした全8章からなるカンタータ。作詞を担当したのは北原白秋です。日本的な厳かなメロディーを用いた曲もありますが、明るく伸びやかな旋律を持つ曲が多く、楽しい作品です。
ただ、神武天皇東征神話を題材にしていることで簡単に皇国史観に結びついてしまいやすいということと、信時潔が、自身が作曲した「海ゆかば」が多くの若者の玉砕を招いたことを恥じて戦後活動を自粛してしまったということもあって、1945年以降は演奏の機会に恵まれていません。
芥川龍之介の三男、芥川也寸志の「『赤穂浪士』のテーマ」は、その名の通り、NHK大河ドラマ「赤穂浪士」のテーマ曲。歴代の大河ドラマのテーマ曲の中でも、そして数ある「忠臣蔵」関連の音楽の中でもおそらく最も有名な曲で、今でも「忠臣蔵」のシーズン(今日、12月14日が赤穂浪士が吉良邸に討ち入った日です)になると、テレビ放送などで耳にする機会が多い作品です。
オーケストラ・ニッポニカの演奏は堂に入っており、またそれを捉える録音の優秀さも特筆事項です。
Japanese Composers Classical/本名徹次 / オーケストラ・ニッポニカ Vol.2 早坂文雄、信時潔、芥川也寸志
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