カルロス・クライバー指揮 「1992 ニューイヤー・コンサート」
毎年恒例、元日に行われるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の「ニューイヤー・コンサート」。1939年、クレメンス・クラウスにより創始。ウィーン・フィルのコンサートマスターだったウィリー・ボスコフスキーのヴァイオリン弾き振りの時代を経て、1980年代からは世界を代表する指揮者達が指揮台に立つようになりました。
中でも話題を呼んだのは、1989年と1992年の2度に渡って指揮台に立ったカルロス・クライバー(1930-2004)。20世紀を代表する天才指揮者でありながら、極度の完璧主義者であり、キャンセル魔、録音嫌いでもあったカルロスの登場は、当日まで「キャンセルがあるのでは?」というスリルを含み、また演奏の素晴らしさで世界中の聴衆を魅了しました。今回紹介するのは1992年のニューイヤー・コンサートをライブ収録したCDです(ソニー・クラシカル)。コンサートの模様は全世界にテレビ中継され、私もテレビの前で見ていました。
曲目は、アンコールとして演奏される、おなじみのワルツ「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」のほか、ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「オーストリアの村つばめ」、ワルツ「天体の音楽」、ヨハン・シュトラウス2世のポルカ「雷鳴と電光」、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、ポルカ「観光電車」、「新ピッチカート・ポルカ」、「ペルシャ行進曲」、オペレッタ「ジプシー男爵」序曲など。
基本的には娯楽音楽であるウィンナ・ワルツやポルカですが、カルロス・クライバーは本気でこれらの曲に挑んでおり、特にポルカ「雷鳴と電光」は快速テンポの迫力ある演奏で、「さすがはクライバー」と多くの人を唸らせた壮演。
ポルカ「観光列車」ではカルロス・クライバー自身がラッパを吹いてみせる(上手く鳴っていないのはご愛敬)など、ニューイヤー・コンサートならではの演出も聴く者を和ませてくれます。
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