幕末の第一級史料 タウンゼント・ハリス 『日本滞在記』(全3巻)
アメリカの初代日本総領事であるタウンゼント(タウンセンド)・ハリスの日記『日本滞在記』(岩波文庫)。上、中、下の3巻からなっていますが、日本での滞在期間について書かれているのは、中と下の2巻です。日本語訳:坂田精一。
この文庫本は10年ほど前に手に入れて読んだもの。現在、『日本滞在記』は絶版のようですが、今年の大河ドラマの舞台は幕末。それもハリスが謁見することになる徳川家定こそ大河ドラマの主人公である篤姫の旦那さんであるだけに、再版される可能性は高いと思います。
ハリスは、日本、特に長く滞在していた(というより幕府の人間の曖昧な対応により長く滞在せざるを得なかった)伊豆の下田の風物を中心に、数多くに興味深い記述を行っています。
ハリスは日本の庶民に対しては好意を抱くと同時に高く評価していますが、一方で幕府の政治家達の曖昧な対応には「嘘つき」だの何だのと散々にけなしています。ハリスの誤解や勘違いしている部分も多いのですが、日本という国の本質は150年以上経った今でもそれほど変化していないということなのかも知れません。
漢字が旧字体であったりしますが、内容はわかりやすく、読み物としても大変面白い本です。
| 固定リンク | 0
コメント