コンサートの記(6) サー・ロジャー・ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団来日公演2004大阪
2004年11月29日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールにて
ザ・シンフォニーホールでサー・ロジャー・ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団のコンサートを聴く。
オール・ベートーヴェン・プログラム。
最初は「エグモント」序曲。透明な弦の響きを生かし、音の強弱の付け方も独特でユニークな演奏だ。トランペットとトロンボーンは古楽器のものを使っている。
ピアノ協奏曲第1番。独奏は児玉姉妹の妹、児玉桃。演奏前に会場に驚きの声が上がる。ピアノがあたかも引き振りをするときのように鍵盤が客席側に向けられる。正面の客はピアニストの背中を見ることになる。さらに、ピアノを取り囲むように、弦楽奏者の椅子が車座に並べられる。コンサートマスター(今回は女性だったので正確にいうとコンサート・ミストレス)も客に背中を見せて座る。指揮者は車座の中央、ピアノの横に立つ。
児玉桃のピアノは煌びやかな音色を生かす。テクニックもいうことなし。女性的な演奏であり、優男のベートーヴェンという感じ。
ノリントン指揮のオーケストラは本当に済んだ響きを出す。弦などカルテットを聴いているときのように透明な音色だ。
メインは交響曲第5番。速めのテンポを取り、すっきりとしたベートーヴェン像を描き出す。第1楽章のラストでノリントンが観客の方を向いて大見得を切る。客席から笑いが起きる。ノリントンという指揮者、なかなかの役者だ。
ノリントン、決めるところでは格好良く、大袈裟に決める。普段より身振りが派手なようで、第2ヴァイオリンの女性奏者が横の奏者を見てそっと笑っている。
ティンパニの鳴りが凄い。ノリントンは「これからティンパニが凄いですよ」とジェスチャーで示す。
楽しい第5だ。凄みはまるでないが痛快だ。フルトヴェングラーの第5が完全に過去の演奏になった気がする。
アンコールはメンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』より「スケルツォ」。ノリントンは完全に客席の方を向いて体を揺すったりしている。さすがにやりすぎの気もするが面白いおじいさんだ。
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コメント
こんにちは。
>第1楽章のラストでノリントンが観客の方を向いて大見得を切る
これ、N響でモーツァルトを振ったときもやってました。
好きなんでしょうね(^^)
投稿: てつや | 2008年2月 7日 (木) 12時54分