ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 「ベートーヴェン交響曲全集」
NHK交響楽団の名誉指揮者(のちに名誉桂冠指揮者)としておなじみだったウォルフガング(ヴォルフガング)・サヴァリッシュ(1923- )。現在は指揮活動から引退してしまいましたが、日本人にとって最も馴染みの深いドイツ人指揮者でもありました。
そんなサヴァリッシュがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団)と録音した「ベートーヴェン交響曲全集」。EMIによって録音・販売されてきましたが、オランダの廉価レーベルであるブリリアント・クラシックスからライセンス発売もされています。
こちらがそのブリリアント・クラシックスから発売されている「ベートーヴェン交響曲全集」のBOXジャケット。
ドイツ正統派の指揮者として、バイエルン国立歌劇場の音楽総監督にまで上り詰めたサヴァリッシュ。若い頃にウィーン交響楽団の指揮者をしていたときには、その実力に、ウィーン国立歌劇場の音楽監督だったヘルベルト・フォン・カラヤンも恐れをなしたと言われていますが、その後のサヴァリッシュはドイツ音楽界のための地道な活動に徹し、音楽界の覇権争いに加わることはありませんでした。
そんなサヴァリッシュのベートーヴェンは正統派であるが故に、「個性がない」、「平凡」と称されたりもしますが、個性を競う指揮者達の中にあって、ベートーヴェンの音楽そのものの再現に最大の力を注ぐ指揮者達の存在も重要です。指揮者の個性を聴くのはオーケストラを聴く最大の楽しみの一つですが、個性派指揮者のベートーヴェンばかり聴いていると、指揮者を聴いているのかベートーヴェンを聴いているのか判然としなくなることがあります。
こういうときに聴くと良いのが正統派のベートーヴェン演奏。サヴァリッシュとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の「ベートーヴェン交響曲全集」はそうした正統派のベートーヴェン演奏の中でも最も安心して聴けるセットです。
目新しいところは特にありませんが、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の高貴な音色を生かしつつ、ベートーヴェンの交響曲そのものの素晴らしさを示す好演揃い。
フルプライスでは勧めにくいセットですが、ブリリアント・クラシックスから出ている激安盤であり、価格に比して内容が極めて良いということで大いに推薦します。
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コメント
こんばんわ。
サヴァリッシュは、N響アワーの映像でしか見た事がないのですが、N響メンバーはそろって慕っているようでしたし、指揮の姿もたとえ椅子に座りながらでも毅然としていて見とれてしまいました。
僕はブラームスの管弦楽曲全集を宝物にしています。
正統派サヴァリッシュという記事がうれしくて、コメントさせていただきました。
投稿: てつや | 2008年2月20日 (水) 23時05分
90年代後半に、私はサヴァリッシュとN響の実演に何度か接することが出来ました。シューマンの交響曲第3番「ライン」の恰幅の良い演奏が強く印象に残っています。
投稿: 本保弘人 | 2008年2月21日 (木) 20時47分