バーバラ・ボニー 「春への憧れ モーツァルト歌曲集」
アメリカ生まれのソプラノ、バーバラ・ボニーの歌う「春への憧れ モーツァルト歌曲集」(テルデック)を紹介します。ピアノ伴奏はジェフリー・パーキンズ。
歌から発生した音楽。しかしクラシックの中でも歌曲は特に地味な分野になっています。同じ声楽でもオペラは華やかであり、合唱はアマチュア音楽家が好んで行うということもあって盛んですが、歌曲となるとファンはグッと減ります。シューベルトのように歌曲が代表作になっている作曲家もいますが、他の多くの作曲家の場合は、交響曲や管弦楽曲や器楽曲やオペラは有名でも歌曲はあまり知られていないというケースはままあります。
モーツァルトも例外ではなく、「すみれ」などのようによく知られている歌もありますが、「よく知られている」の次元が、モーツァルトの書いた交響曲やオペラやピアノ協奏曲や独奏曲と大きくかけ離れています。
国内盤アルバムのタイトルになっている「春への憧れ」は、モーツァルトが同時期に書いたピアノ協奏曲第27番第3楽章とほぼ同じ主題によるもので、零れるような愛らしいメロディーを持っています。
バーバラ・ボニーは、澄んだ明るい声の持ち主で、晴れた春の午後の日だまりで過ごすような幸福な時間を聴く者に約束してくれます。
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