デイヴィッド・ジンマン指揮ボルティモア交響楽団 サミュエル・バーバー 弦楽のためのアダージョ、交響曲第1番ほか
映画「プラトーン」などにも使われ、20世紀アメリカが生んだクラシック作品の中でも特筆すべきヒット作である「弦楽のためのアダージョ」を作曲したサミュエル・バーバー(1910-1981)。
弦楽四重奏曲第1番の第2楽章を弦楽オーケストラのために編曲した、哀切きわまりない「弦楽のためのアダージョ」は著名人の訃報のラジオBGMに使われるなど、極めてポピュラーになりますが、そのために、バーバーの他の作品に光が当たらないという皮肉な結果をも生みました。
サミュエル・バーバーの音楽入門に最適の一枚として推したいのが、デイヴィッド・ジンマン指揮ボルティモア交響楽団によるCD(argo)。
「弦楽のためのアダージョ」のほかに、「オーケストラのためのエッセイ」第1番&第2番。「シェリーによる場面のための音楽」、交響曲第1番を収録。
ジンマン指揮のボルティモア交響楽団が、スウィートにしてビターという同コンビの特徴である音色を生かした、甘美な名演を繰り広げています。
「弦楽のためのアダージョ」だけが突出して有名になってしまったことのほかに、前衛の時代にあってロマンティックなメロディーが最大の売りであったこと、また同性愛が非難の対象であった時代にあってゲイであることでも偏見を受けるなど、時代にも恵まれなかったサミュエル・バーバー。
再評価も進むバーバーの美しい音楽に浸ることの出来る一枚です。
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