« 観劇感想精選(32) ミュージカル「アルジャーノンに花束を」 | トップページ | 鳥葬 »

2008年4月 5日 (土)

帝王の白鳥の歌 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー交響曲第7番

「帝王」と呼ばれ、指揮界において並ぶ者のない権力を手に入れたヘルベルト・フォン・カラヤン。しかし、権力者の常なのか、最晩年には女性クラリネット奏者を無理矢理ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団させようとさせ、一年間の試用期間の後に、オーケストラから「入団はやはり認められない」との申し出があったにも関わらず、それでもゴリ押ししようとして、ベルリン・フィルとの関係はかってないほどに悪化。そして公的な存在であるベルリン・フィルを私的財産のために利用したと告発され、結局、事実上の解任にまで至りました。

ベルリン・フィルとの関係が悪化し始めてからのカラヤンはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との仕事を増やすようになりましたが、1989年4月にウィーン・フィルを指揮したブルックナーの交響曲第7番がカラヤン最後のレコーディングになりました。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー交響曲第7番 この録音を聴いた指揮者のリッカルド・ムーティが、「まるで神の声を聴いているかのようだ」と評したことでも知られる名盤。とはいえ、ムーティの発言は却ってこのCDの評価を微妙なものにしてしまったのかも知れませんが。

名演奏であることに違いはないのですが、同時に不思議な演奏でもあります。第2楽章の「内を向いた拡がり」とでも表すしかない演奏に顕著ですが、確かにカラヤンの音がして、金管も咆哮しているのに、何故か静かな佇まいが感じられる演奏で、この手のブルックナーはカラヤン自身の演奏を含めて他に例がありません。
クラシック音楽を身近なものにし、ビジネスとしても成り立たせたカラヤン。音楽的にもわかりやすかったカラヤン。しかし、全盛期のギラギラした響きとは異なるオーケストラサウンドを最後に生み出したカラヤンも他の多くの大指揮者と同様にミステリアスな存在だったわけです。

ブルックナー/Sym.7: Karajan / Vpo

| |

« 観劇感想精選(32) ミュージカル「アルジャーノンに花束を」 | トップページ | 鳥葬 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 帝王の白鳥の歌 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー交響曲第7番:

« 観劇感想精選(32) ミュージカル「アルジャーノンに花束を」 | トップページ | 鳥葬 »