NAXOSヒストリカル アンドレス・セゴビア第3集 「1950年代アメリカ録音」Vol.1
かつて、イスラムの支配を受けたことから独特の文化が花開いたスペイン。
軍事的にも、トルデシリャス条約でポルトガルと(勝手に)世界を二分するなどの栄光を誇りましたが、アルマダの海戦で無敵艦隊が英国海軍に敗れて以降は衰退。その独自の文化もナポレオンに「ピレネーの向こうはアフリカである」などと半ば見下されるようになります。
音楽とて例外ではなく、クラシック音楽の後進国と見なされていました。
19世紀も後半になって、グラナドス、ファリア、タレガなどの有名作曲家が輩出し、ヴァイオリンのサラサーテ、チェロのカザルス、ギターのセゴビアやナルシソ・イェペスなど、世界的な演奏家も次々に登場しました。
中でもアンドレス・セゴビアは、クラシックギターを芸術の領域にまで高めた演奏家であり、スペイン音楽史の最重要人物の一人です。
それまでは「民族楽器」程度にしか思われていなかったギターをヴァイオリンなどと同等のクラシック音楽の楽器と認めさせたアンドレス・セゴビア。世界で初めてコンサートホールで、ギターのリサイタルを開いた人物でもあります。
クラシックギターの芸術性の高さを知らしめるために、セゴビアは、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器用に書かれた曲のギター編曲を盛んに行いました。NAXOSヒストリカルから復刻されたこのCDでは、J・S・バッハの「無伴奏チェロ組曲」、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」のギター用編曲を中心に、ヘンデル、ハイドン、C・P・E・バッハ、グルックの作品のギター編曲版を収めています。1950年代のモノラル録音ですが、音質は比較的良好です。
いずれも格調の高い演奏で、クラシックギターに対するステレオタイプな思い込みを見事に打ち砕いてくれます。
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