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2008年5月21日 (水)

NAXOS日本作曲家選輯 「日本管弦楽名曲集」

メジャー・マイナーレーベル(というと変ですが)NAXOSの「日本作曲家選輯」シリーズ。昨年までNAXOSの日本代理店だったアイヴィの持ちかけた企画によってスタートしたシリーズですので、アイヴィの撤退により、今後はどうなるのかはわかりませんが、今のところ発売、企画ともに続いています。今日紹介する「日本管弦楽名曲集」は日本作曲家選輯シリーズのパイロット・アルバムとして発売されたもの。沼尻竜典(ぬまじり・りゅうすけ)指揮東京都交響楽団(都響)の演奏。

NAXOS日本作曲家選輯 「日本管弦楽名曲集」 外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」、近衛秀麿編曲の「越天楽」、伊福部昭の「日本狂詩曲」、芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」、小山清茂の「管弦楽のための木挽歌」、吉松隆の「朱鷺によせる哀歌」の全6曲を収録。

指揮の沼尻竜典は1964年生まれの若手指揮者。桐朋学園大学、ベルリン国立芸術大学で指揮を学び、ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝という経歴を持つ俊才です。
現在、日本フィルハーモニー交響楽団の正指揮者、大阪センチュリー交響楽団の首席客演指揮者を務めるほか、びわ湖ホールの芸術監督も務めています。

近畿圏にポストを持つ指揮者というと、大植英次(大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督)、広上淳一(京都市交響楽団常任指揮者)のように、四六時中音楽のことを考えていて、音楽家になること以外は考えられなかったという人が多いのですが、そういう中にあって沼尻は、雑誌インタビューの「音楽家になっていなかったら?」という質問に、「ビジネスマン」と即答してしまったという人。
だからというわけではないのでしょうが、適度な客観性とオーケストラ捌きの見事さを特徴とする指揮者です。

いくつかの作品について紹介しておくと、「管弦楽のためのラプソディ」は、1960年に行われたNHK交響楽団初の世界ツアーのアンコール用曲目として、NHK交響楽団のツアーに同行する指揮者でもあった外山雄三が作曲したもの。最初は20分ほどの曲だったのですが、N響の世界ツアーに同行するもう一人の指揮者であった岩城宏之に「ここはいらない、ここもカット」という要望があり、結局10分弱の作品になりました。「あんたがたどこさ」、「三池炭坑節」、「ソーラン節」、「八木節」など、日本の民謡を取り入れた曲で、初めて聴くと気恥ずかしさを覚えるかもしれませんが、慣れてしまうと楽しい曲です。

伊福部昭の「日本狂詩曲」は、日本人作曲家のために行われたチェレプニン賞で1位を獲得した作品ですが、演奏時間20分以内の作品であることという規定に合わせて、3曲からなる曲だったのに、最初の曲をカットして応募。現在も元々の第2曲と第3曲からなる曲として演奏されています。

吉松隆の「朱鷺によせる哀歌」は、吉松が私淑し、憧れの存在であった武満徹へのリスペクトを込めた曲。「朱鷺のよせる哀歌」を英訳すると「Elegy for NipponiaNippon」になりそうなものですが、吉松自身が「Threnody to Toki」という英訳をつけたのは、武満徹のイニシャルである「T・T」を意識したものだからです。

沼尻指揮の都響もキリリと引き締まった演奏を繰り広げており、現代音楽研究家である片山杜秀による解説も充実。日本人作曲家の作品を知る上で最適のアルバムです。

Japanese Composers Classical/日本作曲家選輯: 沼尻竜典 / 東京都.so

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