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2008年5月27日 (火)

高崎通浩 『歴代アメリカ大統領総覧』(中公新書ラクレ)

現在、世界唯一の超大国としてあらゆる分野に絶大な影響力を持つアメリカ。そのアメリカの国家元首にして内政の統括者という、国王と首相を合わせ持ったような存在として君臨する大統領。
本書は、歴代のアメリカ大統領43代42人(グローバー・クリーヴランドが2度大統領に就任しているため、一人少なくなる)の肖像を追っていく書物です。新書ということもあって概説的な内容ですが、興味深いことも多いので紹介することにしました。

高崎通浩 『歴代アメリカ大統領総覧』(中公新書ラクレ) 超大国アメリカのトップに君臨するということで、たった一人で全世界に影響を与えることも出来るというアメリカ大統領。42人の大統領の中には、アメリカ国内のみならず全世界の尊敬を集める人物もいれば、単なるお飾り的人物、それ以下の人物もいます。

民主主義を金科玉条として掲げるアメリカですが、民衆は時代の空気に流されやすいというのを知ってか知らずか、大統領に相応しい資質(というものがあるのかどうか疑問ですが)を持ち合わせていない人物が大統領候補に立候補して当選するということも決して少なくはないようです。

この書物からは、ある意味、現行の民主主義の限界と同時に、民衆とは懸け離れた場所で、政治が進行している現状をも読み取ることが出来ます。

アメリカは技術大国であり、経済大国であり、軍事大国でありますが、そこに至るまでのフロンティアスピリッツが、「社会進化論」、「アメリカ国内の膨張主義」から「全世界レベルでの膨張主義」、「帝国主義」、「保守主義と新保守主義」、「新自由主義」、「独善主義」、「単純な善悪二元論」など、アメリカ政治と資本主義の病める部分を作り出し、超大国としてそうした病を全世界レベルで広げていることは看過出来ないことです。そうした政策を生み、推し進めた大統領達の歴史を知ることは今後の世界情勢を推し量る上で、重要な作業であることは間違いなく、そのための入門書としても本書は最適であると思われます。

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