生誕100年&没後40年 ヨーゼフ・カイルベルト指揮NHK交響楽団 ブラームス交響曲第1番
1908年、ドイツのカールスルーエに生まれ、1968年にオペラを指揮している最中に心臓発作で倒れ、帰らぬ人となったヨーゼフ・カイルベルト(ヨゼフ・カイルベルト)。ドイツ正統派のマエストロであり、60歳という若さで亡くならなかったら、その後の世界楽壇の勢力図を変えていたのではないかといわれるほどの実力者でした。
カイルベルトは、1965年にNHK交響楽団の指揮台に初めて立って大好評を得、1967年にはN響の名誉指揮者に任命されて日本での一層の活躍が期待されましたが、その翌年に亡くなりました。
ブラームスの交響曲第1番の演奏は、1968年5月、カイルベルトの死の2ヶ月前の録音。1960年代のN響は今に比べると音が洗練されていませんが、情熱的な演奏を繰り広げており、堅牢な構築力と濃い味わいを持つ、「質実剛健」という言葉がピッタリ来るカイルベルトの表現も流石です。東京文化会館でのライヴ収録。
併録されているのは、1966年にやはり東京文化会館でライヴ収録されたベートーヴェンの「エグモント」序曲。N響の合奏力は万全とはいえませんが、他の録音から窺える当時の日本のオーケストラのレベルを考えるとかなり高度な演奏が繰り広げられており、カイルベルトの指揮者としての統率力の高さがはっきりと示されています。
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