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2008年6月10日 (火)

これまでに観た映画より(25) 「グランド・ホテル」

2005年7月19日 DVDで映画「グランド・ホテル」を観る。タイトルは有名だが、まだ観たことはなかったのでレンタルビデオ店で探してきたのだ。 松任谷由実のペンネーム、呉田軽穂の由来で、GGの愛称でも知られるグレタ・ガルボ出演作。1932年制作のアメリカ映画。後に「グランド・ホテル」形式と呼ばれる映画の原型となった世紀の傑作である。 9日に観た、マキノノゾミ作の「水平線ホテル」に登場人物の設定が何となく似ている。いや似ているのではなく、マキノは明らかにこの作品を意識して脚本を書いている。両作品とも電話のシーンで始まるのが最もそれをよく表している。 「グランド・ホテル」はベルリンの同名ホテルに集まる人々による群像劇。盛りを過ぎたバレリーナ、こそ泥、婿入りワンマン社長と彼にこき使われていた従業員、タイピストの女性などがこのホテルに泊まり、出会い、それぞれの人生の断片を見せ、去っていく。 脚本がよく練られており、「通り過ぎる場所」としてのホテルの哀感を出すことにも成功している。 ガルボはこの時27歳であるが、現代の27歳より大分年上に見える。他の俳優も現代の同年代の俳優に比べると落ち着いて見える。戦前の人は同じ年の頃であっても現代人に比べると10歳老けて見えるという説があるそうだが、それは本当のようだ。 ただ調べてみると、当時でもガルボは実年齢より上に見られがちだったそうで、本人も自分が老けてみられることをやはり気にしていたそうだ。そのためガルボは36歳で引退してしまい、生涯独身を通し、マスコミの前に出ることもなかったという。 それにしても1932年にアメリカはこれほど洗練され、計算された 映画を作っているのだ。こんな映画を作っている国と戦争しても日本は勝てるわけがない。

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