ギャビン・ブライヤーズ 「Jesus’blood Never Failed Me Yet」
ギャビン・ブライヤーズ(ギャヴィン・ブライアーズ)のミニマル・ミュージック、「Jesus’blood Never Failed Me Yet」のCDを紹介します。ポイント・ミュージック・レーベル。
「Jesus’blood Never Failed Me Yet」は、わずか数小節の歌が何遍も何遍も繰り返され、伴奏が弦楽五重奏に始まり、弦楽が足され、管楽器が足されという形で曲が進む度に分厚くなっていきます。
一応、「イエスの血は決して私を見捨てたことはない」という邦訳タイトルもありますが、奇妙な日本語なので、英語そのままのタイトルで紹介します。
1971年にギャビン・ブライヤーズの友人が、ロンドンで暮らす貧しい人々を取材したドキュメンタリー映画を作り、映画音楽を担当したブライヤーズがラッシュ・フィルムを見ていた時のこと、ある酒場で、一人の老人が讃美歌「Jesus’blood Never Failed Me Yet」を歌い出すシーンがありました。そのシーンは映画本編には採用されなかったのですが、ブライヤーズを老人の歌声を使った楽曲を作ることに決めます。
最初に作られたのは約25分のバージョンで、歌声と伴奏とが、徐々に大きくなり、最高潮に達したところで音が弱くなってフェードアウトするというものでした。
今回紹介するバージョンは、その約3倍の長さのあるバージョンで、伴奏が一度弱まったり、フル編成の弦楽オーケストラや合唱が加わって奥行きが増すなど、深みが出ています。ラストでは、トム・ウェイツの歌う「Jesus’blood Never Failed Me Yet」が加わるというのもポップスファンにとって嬉しいサービスといえるでしょう。
構造的にはシンプルですが、そうした曲の性格のためか、感動があたかもボディーブローのように、ゆっくりと、確実に心を捉えていきます。
Bryars Gavin *cl*/Jesus’blood Never Failed Me Yet: Tom Waits / Riesman / Hampton.q.o
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