徹底されたカラヤン美学 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」(1971年盤)
帝王カラヤンの十八番中の十八番というべきレパートリーだったのが、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。カラヤンはスタジオ録音だけでも実に7回もこの曲をレコーディングしています。今日紹介する、1971年のEMI盤は5回目の録音。
1971年といえば、カラヤンとベルリン・フィルの絶頂期ともいうべき時期で、ベルリン・フィルの威力はこれ以上を望めないほどです。
カラヤン&ベルリン・フィルの最大の特徴はサウンドの威力、最大の美点は耽美的ともいうべき磨き抜かれたサウンドですが、チャイコフスキーの「悲愴」はそのいずれにおいても、このコンビの実力を示すのに最も適した曲でした。
第1楽章の冒頭から音の威力全開で、他の演奏とはまるで異なることがわかります。
歌も、音色が溢れて滴り落ちるような美音も全てがカラヤンの美学に染め抜かれていて、オーケストラ演奏の極北ともいうべき地点に達していることが感じられます。
第3楽章の爆発力、第4楽章の洗練度なども特筆事項。
果たして、こうした演奏がチャイコフスキーの本質を突いたものなのかというと疑問を持たざるを得ませんが、究極のオーケストラ演奏とはいかなるものなのかを知ることの出来る希有の名盤です。
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