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2008年12月23日 (火)

観劇感想精選(58) モダンスイマーズ 「夜光ホテル ─スイートルームバージョン─」

2008年11月2日 大阪・なんばの精華小劇場にて観劇

午後6時より、大阪・なんばの精華小劇場で、東京に本拠を置く劇団、モダンスイマーズの公演「夜光ホテル ─スイートルームバージョン─」を観る。蓬莱竜太:作・演出。
出演は、萩原聖人とモダンスイマーズの団員(古山憲太郎、津村知与支、小椋毅、西條義将)。

注目の若手演劇人、蓬莱竜太:作・演出の舞台には何度か接しているが、彼が所属するモダンスイマーズの公演は、モダンスイマーズの関西公演自体が今回が初めてということもあり、観るのは初めて。

映画「CURE」で演じた記憶喪失の殺人伝道師・間宮邦彦役が余りに鮮烈だったからか、これまでに観た2度の公演でいずれも記憶に障害を持った青年役をやっていた萩原聖人だが、今回は記憶に問題のある役ではない。

函館にあるビジネスホテルの一室。東京の日暮里で「八ガラス」と呼ばれた、肩にカラスの刺青のある8人のかつての悪童のうち3人が泊まっている。中学生の時に暴力団員の早乙女に見込まれ、肩に刺青を入れてから16年経った今も、篠崎賢治郎(萩原聖人)、澤田春文(古山憲太郎)。上島直人(津村知与支)らはチンピラを続けており、函館にはホテルの部屋に届けられる箱を東京まで車で届けるという、詳細は明かされないが、間違いなくヤクザな稼業をするために来ているのだ。

16年前に「八ガラス」から抜けて、今では青森で林檎農園を営んでいる月原英樹(小椋毅)が部屋に呼ばれてくる。篠崎らに車を貸すよういわれて函館まで来た月原だったが、もう「八ガラス」には関わりたくないようだ。だが、篠崎らは東京まで一緒に来るように言う。日暮里時代、月原は重大な事件を起こしたまま「八ガラス」から逃走していた。しかし、月原が思っていた以上に起こした事件は大きく……

男性俳優だけによる硬派な味わいのドラマである。登場人物全員が袋小路に追い込まれており、それであるがゆえに人生の一断面が強烈に浮かび上がる。

流されるままに生きる、いや生きてもいずに存在しているだけではなく、自分の意志で真に生きた人生を獲得する重要性が確固としたメッセージとして伝わってくる。

俳優陣はみな、セリフに感情が適度に乗っていて、臨場感が抜群であった。若手劇団ではあっても東京はやはり凄いのが揃っている。

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