さよならリチャード・ヒコックス 「リチャード・ヒコックス CBE(英国上級勲爵士)受勲記念CD」
去る11月23日、心臓発作のために60歳という指揮者としては大変若い年齢で死去したリチャード・ヒコックス。
1948年生まれ、ロンドンの王立音楽院と、ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジで音楽を学び、1971年にはシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアを結成して独自の指揮活動を開始しています。
イギリス音楽のスペシャリストとして、のみならず驚くほど広範なレパートリーの持ち主として活躍したヒコックス。シャンドス・レーベルの看板指揮者として膨大な量の録音を残してもいます。
そんなリチャード・ヒコックスのシャンドス・レーベルへの録音を集めたCDが、2002年に発売された「リチャード・ヒコックス CBE(英国上級勲爵士)受賞記念CD」。
タイトル通り、ヒコックスがCBEを受勲した記念盤として発売されたものです。国内盤にはヒコックスの150枚を超えるディスコグラフィーが付いていました。
いわゆるダイジェスト盤ではありますが、ほとんど名を知られていないイギリス人作曲家の作品も多く収録されており、イギリス音楽入門盤としての価値があります。
写真に見る容貌通りの、明るく、溌剌とした音楽作りを特徴としたヒコックス。地味なイギリス音楽のスペシャリストというイメージが強く、本人もそうしたイメージ通りの活動を望んだということもあって、国際的知名度は必ずしも高くありませんでしたが、旺盛な録音活動を中心とした独自の活動を展開しており、あと10年もすれば、「音盤の巨匠」として世界的な尊敬を集めることは間違いないと思われていました。
しかし、膨大な量の録音を行うということは、それだけ仕事量が増えるということでもあり、特にマイナーなイギリス音楽を音盤に残す(世界初録音も多数手掛けました)ためには、スコアリーディングを含めた相当な量の勉強をする必要があったと思われます。おそらくヒコックスは過労死でしょう。
将来の世界的名声を確実のものとしながら、それを見ることなく亡くなってしまったヒコックス。悲運の人なのかも知れませんが、それだけに彼の名前を憶え続けることは音楽ファンの使命なのかも知れません。
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