猫町通り通信・鴨東記号
と、いうわけで、猫町通り通信・鴨東記号です。「鴨東」「記号」ではなく、「鴨東記」「号」と読んで下さい。猫町通り通信を更新出来ないので鴨東記でやります。今、横浜にいます。
午後12時53分京都発の新幹線で横浜に向かう。横浜みなとみらいホールで日本フィルハーモニー交響楽団の横浜定期演奏会を聴くためである。曲目は、武満徹の「系図(ファミリー・トゥリー)」とリヒャルト・シュトラウスの家庭交響曲。「系図(ファミリー・トゥリー)」の語り手を注目の若手女優、蓮佛美沙子が務めるので、それを聴くのが目的だ。
「系図(ファミリー・トゥリー)」の語りは、初演を務めた遠野凪子のものがCDで出ているが、指揮者の小澤征爾の影響か、力みすぎであり、楽しめない。その他には、吉行和子が語りを務めた岩城宏之盤もあるが、「系図」は“若い人のための音楽詩”とされていて、語り手は、12歳から15歳の少女を想定して書かれており、吉行和子じゃいくらなんでも……、というわけで、納得のいくものが聴けないというのが現状だった。
今日は車窓から、くっきりとして美しい富士を眺めることが出来た。
早めに、みなとみらい地区に着いたので、赤レンガ倉庫に行ってみる。赤レンガ倉庫付近では、横浜18区フェアが開かれていて、各区の名物などが売られている。更に近くでは横浜開港150周年記念フェアとして、ロシアや中国の品々が売られていたが、特に買いたいものはなし。
午後6時、日本フィルハーモニー交響楽団横浜定期演奏会開演。指揮者は沼尻竜典。
日本フィルハーモニー交響楽団の演奏を聴くのは約10年ぶりである。
「系図(ファミリー・トゥリー)」の実演には、ケント・ナガノ指揮リヨン国立歌劇場管弦楽団の来日公演で接している。だが、その時はフランス語による語りであった。「系図」は谷川俊太郎のテキストであり、日本語の美しさも味わいの一つなので、フランス語では物足りない。いや、物足りない以前に、フランス語じゃわからないし。
蓮佛美沙子の語りは、例えば、“むかしむかし”の「今、わたしはここにいる」というフレーズの力強さや、“おかあさん”の迫真性、“とおく”の夢見るような語りが良かった。ただその他の部分ではもっと素朴さがあると良かった。
沼尻竜典の指揮は、オケ捌きが絶妙。日フィルは音がやや細めである。
後半、リヒャルト・シュトラウスの家庭交響曲。日フィルは、10年前に比べると音がより磨かれた感じだが、弦がやや細めである。管ではホルンの音色が豊かであった。オケ全体のffの部分は充実した響きである。
沼尻の指揮は、棒のテクニックが優れているが、それが一番目立ってしまっているように思えた。どことなくサラリーマン的な演奏であった。
新型インフルエンザの国内初感染が確認される。
ホテルのテレビはすでに地デジ。やはり映りが綺麗である。
このホテルには大浴場があり、ラジウム人工温泉だというので入ってみる。普段は狭い浴槽に縮こまるようにして入っているので、手足を伸ばして入れる大浴場はいい気持ちである。
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