無明の日々(6) 英語砂漠に水を撒く
人々には常緑の英語の大地が与えられたが、私が譲り受けたのは草一つない英語砂漠だった。その英語砂漠に水をやるのが私の仕事だった。決して報われることのない、それでもやらなければならない作業。
他の人間なら気が狂ったことだろう。私とてもはや正気ではないのかも知れない。しかし作業を止めることは許されなかったし、許されたとしてもそれはデッドエンドだった。
木の根一つない英語砂漠に水を撒き、撒いたそばから蒸発していく水の非情さに耐えながら私は己を虚しくしていた。
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