無明の日々(7) 明治大学に恋して
明治大学リバティタワー。私はリバティタワー1期生でもある。半年だけここで学んだ。個人的には前身である明治大学記念館の方が好きだったけれど。なお、私は記念館とリバティの両方の校舎で学んだ数少ない人間の一人である。
1994年に明治大学第二文学部文学科文芸学専攻に入学した。もっと偏差値の高い大学にも受かったのだが、どうしても明治大学に入りたかった。おかしな話だけれど私は明大に恋していた。だから明治に入れるなら二部でも良かったというより、文芸学専攻が二文にしかなかったのでわざわざ選んでいったともいえる。日本文学専攻だったらおそらく行かなかった。
明治大学の文芸学専攻に執着した理由としては田村隆一の詩が大好きだったということが挙げられる。田村隆一は文芸学専攻の直接の前身に当たる文芸科の出身だった。田村隆一の後輩になりたいと思ったのだ。
こう書くと、明治大学の文芸学専攻の入れて万々歳だったように思われるかも知れないが、内心では複雑な思いを抱えていた。第一志望の大学は明治大学。これは良い。ただ第一文学部の日本史専攻を希望していたのだ。子供の頃から社会科が得意で、特に日本史は私より出来る人間を見たことがないというほどであった。だから日本史を専攻すればひょっとしたらものになって大学教授にもなれるのではという思いがあったのだ。
しかし、第一志望に入れなかったことでその夢は捨てた。私は自分の人生よりも明治大学を愛してしまっていた。恋は盲目というが相手が人間だけとは限らないらしい。
そうして始まった明治大学での学生生活。夜学生ということもあり、昼間の学生と同じ生活はもとより望んでいなかった。六大学野球が好きだったから神宮球場に通おうとも思っていたが、いざ学生生活がスタートすると勉強が面白くなってしまい、結局神宮には行かずじまいだった。
正午過ぎに学校に到着して、図書館に籠もって読書と勉強というスタイルが定着していった。
最初は明治大学への恋であったが、それが文芸学への恋へと変わっていた。そうして文学への恋心を抱いたまま、私の青春時代は過ぎていったのである。
| 固定リンク | 0
コメント