追悼ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踏団「フルムーン」
2008年4月2日 びわ湖ホール大ホールにて
びわ湖ホール大ホールで、コンテンポラリーダンスの世界的大家、ピナ・バウシュ率いるヴッパタール舞踏団の公演「フルムーン」を観る。午後7時開演。
ピナ・バウシュの公演ということで、関西の舞台関係者や文化人の姿が多く見られる。
「フルムーン」はダンサーが日本語や英語でセリフを語りつつ進むダンス作品。ヴッパタール舞踏団には日本人のダンサーもいるので、日本語のセリフもメンバーは憶えることが出来たのだろう。
舞台中央、やや上手寄りに巨大な岩石のセットが置かれている。その下には川状の浅いプールが舞台を横切っている。
「フルムーン」というタイトルゆえ、冒頭こそ月に憑かれたようなダンスがあるが、それに沿った解釈で見ても面白くないので、場面場面を画として楽しんでみた。物語性を追おうとすれば追えるのだけれど、そもそも物語性というもの自体が、あるがままのものにレッテルを貼って、それらしき場所に押し込めてしまうものであり、ダンスにまでそんな窮屈さを求めたくない。
水を多量に使った場面はやはり爽快。市川猿之助が、スーパー歌舞伎について、「水芸を舞台でやると必ず喜ばれる」と言っているのを聞いたことがあるが、やはり本来舞台とは相性が良くないはずの水を思いっきり使うと、舞台であることの制約が取り払われたとような感覚があり、痛快である。
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