コンサートの記(52) パーヴォ・ヤルヴィ指揮シンシナティ交響楽団来日公演2009西宮
2009年10月31日 兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで
午後2時から、西宮の兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで、パーヴォ・ヤルヴィ指揮シンシナティ交響楽団の来日公演を耳にする。
曲目は、レナード・バーンスタインの「キャンディード」序曲と「ディヴェルティメント」、ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」(ピアノ独奏:クリスチャン・ツィメルマン)、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。
アメリカものでまとめた前半と、ドヴォルザークのアメリカ時代の作品で代表作の新世界交響曲という、「アメリカ」というワードを軸にしたプログラムである。
開場した時にはすでに楽団員がステージ上に何人かいて、さらっている。そのうちに三々五々団員が出てきて思い思いに楽器の練習をし、最後にコンサートマスターが出てきて会場から拍手。そしてパーヴォが出てきて拍手の後、演奏が始まる。
レナード・バーンスタインの2曲では、パーヴォのリズム感の良さとオケ捌きの見事さに魅せられる。二本の腕で、よくここまで縦横無尽にオケが操れるものだ。他の演奏では聞こえない音もクッキリ聞こえるところも目新しい。
なお、パーヴォもまたレナード・バーンスタインの弟子である。レナード・バーンスタインは一時期タングルウッドを離れてロサンゼルスで指揮の指導を行っていたが、パーヴォはその時の弟子だ。
クリスチャン・ツィメルマンがソリストを務める「ラプソディー・イン・ブルー」。ツィメルマンのピアノはスケールが大きく、パーヴォ指揮のシンシナティ響ともども、シンフォニックな「ラプソディー・イン・ブルー」となった。
シンシナティ響はさすがにアメリカのオケだけあって、ジャジーな部分の処理は慣れたものである。
ツィメルマンのピアノはスウィングこそしないが、技術は極めて高い。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。シンシナティ響はブラスも屈強だが、それ以上に弦の音色が印象的。滑らかで柔らかく、練れた感じがする。パーヴォはキビキビとした指揮でオケを導き、美しくもキレのある好演となった。
アンコールは2曲、ブラームスのハンガリー舞曲第5番と、パーヴォのアンコール曲としてはおなじみとなったシベリウスの「悲しきワルツ」。
ハンガリー舞曲はオーソドックスな演奏であったが、「悲しきワルツ」は例によって聞き取れないほどのピアニッシモを駆使した個性的な演奏であった。
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