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2010年6月 4日 (金)

観劇感想精選(76) 蜷川幸雄演出「ヘンリー六世」

2010年4月10日 大阪・茶屋町のシアター・ドラマシティにて観劇

午後12時30分から、シアター・ドラマシティで、「ヘンリー六世」を観る。シェイクスピア最初期の戯曲の舞台化である。本来は三部作、上演時間約9時間という超大作だが、河合祥一郎のテキストレジにより、上演時間を縮める工夫がされている。それでも1時間の大休憩を除いて上演時間約7時間という大作である。演出:蜷川幸雄、出演:上川隆也、大竹しのぶ、池内博之、長谷川博己、草刈民代、嵯川哲朗、たかお鷹、高岡蒼甫ほか。

百年戦争と薔薇戦争という二つの大戦を背景に、血で血を洗う壮絶な抗争が繰り広げられるという歴史大作。

そんな中にあって、タイトルロールであるヘンリー六世(上川隆也が演じる)は、無能とまではいえないまでも凡庸な君主である。生後9ヶ月で即位し、身内が骨肉あいはむ闘争を繰り広げる中で、ただ神に帰依し、祈りを捧げるだけの王だ。

ただ猛るような野望に燃える人々の中にあって、何を求めるわけでもないヘンリー六世の姿は神の御心にかなっているのではないかとも思えてくる。

役者はみな熱演。中でも、ジャンヌ・ダルクとマーガレット王妃の二役を演じる大竹しのぶ演技の幅の広さには舌を巻く。

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