コンサートの記(59) ヘルベルト・ブロムシュテット指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団演奏会2009大阪
2009年11月22日 大阪・福島のザ・シンフォニーホールで
ザ・シンフォニーホールでヘルベルト・ブロムシュテット指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演を聴く。午後2時開演。
曲目は、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」とブラームスの交響曲第1番。
プロフィールの好きな指揮者の先頭に名を挙げていることからもわかると思うが、私はブロムシュテットという指揮者が大好きである。東京に出るようになって最初に聴きにいったのもブロムシュテット指揮のNHK交響楽団の演奏会であった。
ヘルベルト・ブロムシュテットは1927年、アメリカに生まれたスウェーデン人の指揮者。シュターツカペレ・ドレスデン、サンフランシスコ交響楽団、ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団など世界的オーケストラの首席指揮者を歴任。NHK交響楽団の現役唯一の名誉指揮者でもある。
日本と縁のある指揮者はどういうわけか批評などでは過小評価されがちで、ブロムシュテットも例外ではない。
しかし、82歳となった今でも若々しい指揮姿と音楽作りで日本でもファンの多い指揮者である。
関西に来てからブロムシュテットの演奏を聴くのは初めて。数年前にライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を率いて京都コンサートホールで演奏会を行っているが、私は折悪しくインフルエンザに罹患しており、聴きに行くことが出来なかった。
名門チェコ・フィルの演奏を聴くのは関西に来てから2回目。前回はフェスティバルホールで、シャルル・デュトワ指揮の公演を聴いている。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。冒頭から温かで透明な弦の音に惹き付けられる。金管の力強い音、ティンパニの強打など、思い切りの良い演奏だが、バランスは最良に保たれている。第4楽章はブロムシュテットの情熱が飛び散る様が見えるような快演であった。
ブラームスの交響曲第1番。序奏では物々しさよりも哀感を表に出し、個性的である。オーボエの音色が哀切だ。弦の音色、金管の輝かしさなど極上である。ブロムシュテットは第3楽章と第4楽章の間に休憩を入れずに繋ぐことでより物語性を高めるという演出を施す。凱歌は若々しく軽やかであり、軽すぎない。老境に入ってなお若い精神を保っている指揮者だけが描くことの出来る至純の境地を示していた。
アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第1番。若々しい演奏であり、とても82歳の指揮者が指揮しているとは思えない。
チェコ・フィルのメンバーがステージを去っても拍手は鳴り続け、それに応えてブロムシュテットが一人で登場。喝采を浴びた。
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