これまでに観た映画より(51) 「地下鉄(メトロ)に乗って」
DVDで映画「地下鉄(メトロ)に乗って」を観る。原作:浅田次郎、監督:篠原哲雄、出演:堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子ほか。
私が、小説『地下鉄(メトロ)に乗って』を読んだのはもう10年ほど前になる。「ダ・ヴィンチ」という雑誌で役所広司が推薦していたので読んでみたのだ。読み終えて、異様なほど感動したのを昨日のことのように覚えている。
「地下鉄(メトロ)に乗って」の映画化は待たれていたが、なかなか実現しなかった。その間、舞台化されたりもしたが、やはり「地下鉄(メトロ)に乗って」は映画向き。昨年、ようやく映画が完成し、公開された。
慎次(堤真一)は立志伝中の人物である小沼佐吉の次男であるが、少年の頃に父と喧嘩別れし、今は小さな下着メーカーの営業マンをしている。父の会社は弟が継いだ。父親の小沼佐吉は、今、死の床にある。
慎次には、みち子(岡本綾)という愛人がいた。下着メーカーの専属デザイナーだ。妻子ある慎次との関係にみち子は悩み始めていた…。
小説でも感動したが映画でも感動した。しかも小説とは別のところで感動している上に、次に何が起こるのか知っているため、感動するべき場面でないのにその次のシーンを思い浮かべて、頭の中の整理がつかなくなるほど心動かされた。映画館で観なくて良かったと思う。映画館に観に行って、隣に原作を知らない人が座りでもしたら、「この人は何をそんなに感動しているのだろう?」と不審に思われたことだろう。例え、その人がその理由にすぐに気づいたとしてもこちらは気恥ずかしい。
それにしても、いい話だ。感銘の度合いは小説の方が上だと思うが、映画も素晴らしい。
岡本綾のみち子役は制作が発表された時には嵌るかどうか疑問だったのだが、思ったよりも良い感じ。小沼佐吉を演じる大沢たかおも普段のイメージとは異なる役を十全に演じて見せてくれる。
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