コンサートの記(68) イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団来日公演2010大阪
2010年6月30日 ザ・シンフォニーホールにて
午後3時から大阪のザ・シンフォニーホールで、イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団の来日公演を聴く。
曲目は、ロッシーニの歌劇「アルジェのイタリア女」序曲、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:神尾真由子)、ブラームスの交響曲第4番。
ブダペスト祝祭管弦楽団は、1983年にイヴァン・フィッシャーとゾルターン・コチシュによって結成されたオーケストラで、当初は名前の通りの祝祭オーケストラであり、年に3~4回の公演しか行っていなかったそうだが、1992年からフルシーズンのオーケストラとなり、2003年からはハンガリー国立の団体となっているという。
「アルジェのイタリア女」序曲。基本的には古典的配置での演奏である。ただ管楽器群が前にせり出してきており、指揮台の真向かいにオーボエとピッコロが並ぶという珍しい配置だ。演奏は勢いがあって良い。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。ソリストの神尾真由子のヴァイオリンは音が磨き抜かれており、上品でどこか哀愁を帯びた響きを奏でる。イヴァン・フィッシャーとブダペスト祝祭管弦楽団によるバックも万全であった。
神尾はアンコールで、パガニーニの「24のカプリースより第24番」を演奏。超絶技巧を披露する。
ブラームスの交響曲第4番。冒頭の哀愁に満ちた音楽をフィッシャーは決して感傷には陥らず、しかし良く歌う。その後は熱い演奏が展開される。指揮者もオーケストラも燃えに燃えた情熱的な演奏。第1楽章が終わった時に客席から拍手が起こったが、それが不自然に感じられないほど熱した演奏だった。続く3つの楽章の演奏も情熱を前面に押し出して展開される。これほど情熱的なブラームスも珍しい。終演後、客席からは大きな拍手。それに相応しい熱演だった。
アンコールで、フィッシャーは日本語で、「みなさん、シューベルトのドイツ舞曲、演奏します」と言い、シューベルトの「5つのドイツ舞曲」より第3番が演奏される。
最後は、ヴァイオリン奏者と大太鼓、それにタンバリンを手にしたフィッシャーの3人により、モルダヴィア民謡が演奏される。楽しい曲であった。
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