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2011年9月22日 (木)

猫町通り通信・鴨東記号 「広島・広上淳一を追いかけて」

広島城天守

 

新幹線で広島へ。広上淳一の指揮する広島交響楽団の定期演奏会を聴くためである。午後1時過ぎに京都の自宅を出て午後4時過ぎにJR広島駅に到着。ちなみに、京都に移住して来年で10年になるが、行ったことのある西端は姫路。今回は岡山県をすっ飛ばして、一気に広島県まで西端が伸びる。当然ながら山陽新幹線に乗るのも初めてである。

 

まず広島駅の駅ビルの書店で広島の観光案内を買う。

開演時間まで時間があるので広島観光。城好きなので広島城に向かう。
広島城は原爆により灰塵に帰したが、天守が鉄筋コンクリートで外観復元され、1994年に、表御門、二の丸の平櫓、多聞櫓、太鼓櫓が木造で復元された。二の丸の建物は内部拝観無料の上、写真撮影も自由ということだったので、城好きの私は写真を撮りまくる。太鼓櫓には名前の通り太鼓があり、自由に叩けるようなので叩いてみる。展示も充実していて、これで拝観無料とは良心的である。

 

 

天守にも行く。1階が受付で、2階以上が展示コーナーになっている。入場は有料で、内部撮影は禁止である。内部展示を見ていると、裃体験コーナーがあったので、横にあった売店のお姉さんに手伝って貰って裃姿になり、記念写真を撮って頂く。
そうやってノンビリしていたのでコンサートの開場時間が近くなってしまい、2階以外の展示は見られず、最上階から広島市街を眺めるだけになってしまう。

 

 

 

路面電車である広島電鉄(広電)の中電前駅が最寄り駅と書いてあったが実際は市役所前駅の方が近かった。

 

広上淳一指揮の広島交響楽団第312回定期演奏会は広島市文化交流会館で、午後6時45分開演。曲目はモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」とマーラーの交響曲第1番「巨人」という魅力的なもの。

広島交響楽団のコンサートマスターは、以前、大阪フィルハーモニー交響楽団にコンサートマスターとして客演した田野倉雅秋である。

広島文化交流会館舞台の側面には、上手、下手ともに鳩のマークがライトアップされている。多目的ホールなので、残響はほとんどなかった。

 

モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。広響は京響に比べると音色が洗練されていないが、聴いているうちに気にならなくなる。広上の指揮は堂々とした冒頭から素晴らしい。テンポは中庸。音色は美しく、フォルテシモからピアニシモまで、自在にオーケストラを操る。第3楽章では広上は指揮棒を譜面台に置いて、ノンタクトで指揮。繊細で優美な仕上がりであった。第4楽章をノンタクトで開始した後、すぐに広上は指揮棒を手にして振る。広島交響楽団の洗練度不足は否めないが、それでも優秀な演奏。終わりが近くなり、広上はまた指揮棒を譜面台に置いてノンタクトで指揮する。こんなに素晴らしい音楽、終わって欲しくないが、須く終わってしまう。最高の「ジュピター」であった。

 

後半の、マーラー交響曲第1番「巨人」。マーラー没後100年周年記念演奏である。
冒頭の弱音が美しい。テンポはやはり中庸で、広響のアンサンブルもしっかりしている。第1楽章のラストでは広響のパワー不足で、音量が思ったほど上がらないが、広上はその代わりに猛烈なアッチェレランドをかけ、迫力を出していた。

第2楽章も迫力のある出来。広響は弦も管もアンサンブルは優秀だ。

第3楽章は葬送の曲であることを強調した仄暗い演奏。ただ時折見せるしなやかな表情が魅力的である。

「巨人」の最終楽章は冗長であることで有名だが、広上の手に掛かると、そんなことは感じさせられない。広上はトランペットが演奏するときに、左手を上に突き上げたり、ジャンプしたりと、今日もユニークな指揮だが、引き出される音楽は本物だ。時折、楽譜にないはずの間を取るのも個性的である。

最終楽章も終わりが近づく。やはり終わって欲しくない。終わって欲しくないが終わってしまう。
良かった。本当に良い演奏だった。ライバルでマーラー指揮者の大植英次指揮の「巨人」よりも数段上だった。広響も目立ったミスはなく、名演に貢献した。

モーツァルトもマーラーも「こういう演奏が聴きたい」と私が理想に描いていた演奏が、今、まさに目の前で繰り広げられたのだ。幸せである。広島まで聴きに来て良かったと心から思った。

広上は広響のメンバーを立たせようとするが、広響の団員は広上に敬意を表して立ち上がろうとしない。広上さんは、指揮台を足でドンと踏みつけて「立て!」と指示。広響の楽団員も立ち上がる。拍手は鳴り止まず、広上は何度も指揮台に呼び戻された。

最高の夜であった。

 

 

 

 

 

終演後、平和記念公園と原爆ドームに行き、平和を祈った。

 

 

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