観劇感想精選(89) 「I LOVE YOU(I LOVE YOU,YOU'RE PERFECT,NOW CHANGE)」
2011年11月3日 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて観劇
西宮にある兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールで正午開演の公演「I LOVE YOU(I LOVE YOU,YOU'RE PERFECT,NOW CHANGE)」を観る。オフ・ブロードウェイで5003回の上演を記録したミュージカルの日本版上演である。演出:ジョエル・ビショップ、台本・作詞:ジョー・ディピエトロ、音楽:ジミー・ロバーツ。中川晃教、白羽ゆり、神田沙也加、米倉利紀の4人によるミュージカル。オムニバス形式の公演で、固定された役はなく、その時、その時によって役者が演じる役は異なる。
まず、4人が、レインコートのような服を着て、恋愛の哲学性や奥深さを語る。ラストでも同じシーンは繰り返され、恋愛に関する有名なセリフが語られる。これにより、深みは増したように見えるが、実はこのミュージカルはライトコメディである。要するに「難しい理屈よりも楽しい恋をした者の勝ち」ということである。
いかにもありそうなシチュエーションから、勝手に恋愛の定義をしたり、恋愛を却ってややこしくしてしまう人、彼氏を家に誘うために大急ぎで料理の勉強をする人、なぜ結婚が難しいのか(理想が高すぎるから)という問い、息子が婚約したと知って大喜びしたのに…というブラックな展開なと、多種多様な恋愛が舞台上で繰り広げられる。
ライトコメディなので、深さはないし、心には残らないけれど、単純に面白い。こういう公演があってもいいのである。
米倉利紀は年齢には勝てないのかかなり太っていたが、貫禄が増したと好意的に解釈しておこう。安定した演技を見せていた。
男性ミュージカルスターとして日本トップクラスの中川晃教、元宝塚の白羽ゆりも勿論素晴らしい。
神田沙也加も達者な演技で、もう「松田聖子の娘」という余計な肩書きは不要であろう。神田沙也加は「女性芸能人にしては顔が大きい」と言われることがあるが、舞台では顔は大きい方がいい。宮﨑あおいのように小さいと、遠目からだと表情がわからなかったりする。そもそも「小顔はいいこと」なんて誰が決めたんだ?
ということで、楽しい時間を過ごすことが出来た。
なお、中川晃教は仙台市の、白羽ゆりは福島市の出身で、ともに東日本大震災で被災した地域の生まれである。カーテンコールで、米倉利紀は東日本大震災に触れ、「仙台公演をやったのですが、仙台の街は震災以前の姿に戻りつつあります。我々が出来るのは笑いをお届けすることだと思います」というようなことを言って締めた。
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