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2013年2月25日 (月)

ウォルフガング・サヴァリッシュの思い出

NHK交響楽団の桂冠名誉指揮者であったウォルフガング・サヴァリッシュ(ヴォルフガング・サヴァリッシュ)が22日に死去した。長きに渡ってNHK交響楽団の名誉指揮者を務め、数年前に引退。バイエルン国立歌劇場の音楽総監督というドイツ国内でもかなり高い役職を長年務めたサヴァリッシュ。若い頃はウィーン交響楽団の指揮者として、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の母体であるウィーン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督であったヘルベルト・フォン・カラヤンを脅かしたと言われるほどの実力の持ち主であったが、出世欲がないため、ウィーンやベルリンといった音楽の首都的都市での地位を得ようとはしなかったようだ。

1990年代にはアメリカのフィラデルフィア管弦楽団の常任指揮者をしていたこともある。ドイツ音楽の権化のようなサヴァリッシュとアメリカ的な華やかな音色が特徴のフィラデルフィア管弦楽団とは水と油のような気がするが、これはフィラデルフィア管弦楽団がリッカルド・ムーティの後任の指揮者としてサー・サイモン・ラトルを迎えようとしたが、ラトルに断られ、ラトルがサヴァリッシュが推した結果、不思議な組み合わせが実現したという。

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と録音したベートーヴェン交響曲全集、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と録音したブラームス交響曲全集、バイエルン国立歌劇場で収録したモーツァルトの「魔笛」などの評価も高いが、私が一番高く評価しているのは、シュターツカペレ・ドレスデンと録音したロベルト・シューマンの交響曲全集であろう。瑞々しい音色と壮大なスケールを合わせ持った名演揃いである。

私は2年間、NHK交響楽団の定期会員であったことがあるのだが、サヴァリッシュの実演に接することが出来たのはたった一度であった。ただ、その時のメインプログラムはロベルト・シューマンの交響曲第3番「ライン」であった。
その後も交響曲第3番「ライン」は他の指揮者とオーケストラの組み合わせで何度も聴いたことがあるが、今も実演で接した「ライン」のベストはサヴァリッシュ指揮NHK交響楽団のNHKホールでの演奏である。N響がシュターツカペレ・ドレスデンにも負けない迫力と美音でこの壮大な曲を奏でていた。良き思い出である。

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